市松人形に代表されるように,ドールに和装というのは鉄板の組み合わせです。
一番目を惹くことになるのは服装で,豪華な着物に大正時代を思い起こさせる袴,そして意外と身近な夏の浴衣に正月の巫女服などが浮かんできますが,それらを数多の和小物たちが引き立てていることも忘れてはいけません。
そこで今回の記事では「ドール用の和小物としてどのようなものが売られているか」をテーマに,できるだけ簡潔かつ幅広い種類をみていくことにしましょう!
ドールの和小物について
ドール用の和小物ですが,実にたくさんの種類が考えられます。
手毬に扇子にお面,座布団やかんざし,登場頻度は減りますが和傘もまた良いですね。
スケール感を無視してしまえば,普段スーパーで購入するような和菓子なども立派な和小物の1つでしょうが,今回はあくまでドールと同じスケールに小型化されたものに絞ってみていきたいと思います。
というのも,幸運にも今や個人が自由に販売できる時代なわけで,上で名前を挙げたような和小物のほとんどをドールサイズで購入することができるからです。
しかもそれらを本職の職人さんが手掛けていることも多く,ドールについてあまり知らない友人に見せたところ,もれなく全員がその質の高さに驚いていました。
次章からは,和小物を具体的に紹介していきますが,まずは手や足といった身体の部位ごとに身に付けられる和小物から見ていくことにし,続けて飲食物や部屋に置ける物の紹介へと移っていくことにします。
同時に,今回の記事で紹介し切れなかったものを自分で調べるための方法もまとめておくので,併せて参考にしていただけたら幸いです。
ドール用の和小物に一体どのようなものが売られているのか知っておけば,出先で自然と目が行くようになり,ネットやイベントで探すときの行動の幅が広がります。
なお,以下では1/3スケールの小物のみが登場してきますが,基本的にはどのスケールであっても同じようなラインナップが利用可能です。
ドールの頭に付ける和小物
まずはドールの頭に付ける和小物についてみていきますが,一番多いのは髪飾りでしょう。
髪飾り
かんざしと櫛が典型的な例で,そもそもの材質にこだわったものも売られているのでしょうが,ドール用のものはこれらに花を付けて明治時代のようなイメージにしていたり,つまみ細工を施して現代の晴れの日に見られるような髪飾りに仕上げられていることがほとんどです。
成人式に向かう女性陣や舞妓さんが頭に身に付けているものを浮かべるとわかりやすいでしょう。
なお,つまみ細工は特に人気があり,ドール用の髪飾りでも結構な種類のものが売られています。
柔らかい印象の「丸つまみ」と尖った「剣つまみ」の2種類を基本に,季節感まで表現できてしまう技法と言われていますが,その歴史は江戸時代にまで遡ることが可能です。
材質や実例についてはつまみ細工協会のHPを覗いてみてください。
さて,話は先の櫛とかんざしに戻りますが,ドールの場合,不思議と頭にボリュームを持たせたくなるもので,売られているドールの写真を見ると,髪飾りが付いていないものを見つける方が少ないはずです。
髪飾りとして,着物風の生地や縄を鈴や花などで飾ったリボン的なものも多いですが,大型のものを身に着けても特に変だとは感じません。
むしろそれがかわいいと思うほどです。
私は布で作られた花が付けられた髪飾りが好きで,見かけると決まって購入したくなります。
取り付け箇所がヘアピンタイプのものはホールド力に優れますが扱いが難しく,突き刺すピンやコーム型のものはその反対です。
珍しいものとしては,巫女さんが使う前天冠が売られていました。
お面
頭に付ける和小物としてはお面もポピュラーです。
お祭りで見かけるようなPVC製のものから,造形士が伝統的な工法で作り上げるものまで販売されていますが,値段は数百円のものから数千円(中には数万円)のものまで結構な差があります。
本格的なお面を作る場合,レジンを材料に型取りをし,それを加工しては塗装していくわけですが,完成までに要する期間が数ヶ月にも及ぶため,その苦労をしれば,そのくらいの値段になるのも納得できるでしょう。
特に色塗りの部分は人の手によるものになるため,大変な作業であると聞きました。
和小物の中だと狐をモチーフにしたお面が圧倒的に多いですが,そのデザインは人それぞれで,カラーリングも豊富ですし,他の動物や日本昔話に出てくるようなお面(能面や般若面など)も作られています。
サイズはドールが使えるようにできているものの他,小さめサイズのものも売られていて,その場合は髪飾りだったり帯飾りだったりに使うようです。
紐で縛ってドールに取り付けるようなものは扱いに困りがちで,大型になるほど,お面の重さで自然とずり落ちてくる可能性が高まります。
その場合,紐にヘアピンをくっつけたりひっつき虫でペタッと張り付けたりして対処しましょう。
一方,プラ製で軽いものは扱いやすく値段も数百円あれば買えてしまいますが,やや表面の造形に難があるところが気になるかもしれません。
ドールの足元を飾る和小物
続いて,ドールの足元に使える和小物についてみていきますが,具体的には靴下と履物の2種類になります。
靴下
裸足に草履という組み合わせも人間界では普通でしょうが,ドール界ではあまり見かけません。
基本的には何らかの靴下を履いていることが多いです。
和小物で靴下といえば足袋でしょうが,以下に示した写真のように足先の演出がわざわざ施されているものまであります↓
ちなみに,巫女服のスカート丈が短くなったものまでが登場している現代なだけに,和装の靴下が二ーソックスになっていても普通で,実際に似合っているわけですから,可愛ければ足袋でなくてももちろんOKです。
余談ですが,足袋のような白色のものが長期保管で黄ばんできた時は,キッチンハイターで漂白するとすぐに白さを取り戻します。
和小物は意外と長期間売れ残っていることもあるようで,ショップで新品で買ったものが黄ばんでいたことも過去にありました(需要の少なさを考えるとしょうがないことです)。
履物
靴下がハイソックスで履物をブーツにしてしまえばもはや和小物とは呼べないと思うので,ここでは草履と下駄を挙げておくに留めます。
下駄は木製で草履はコルク製という違いがありますが,どちらも結局のところ木から作られているわけですし,ドール用の履物の場合,そこまで厳密に下駄と草履が区別されているようには感じません。
男性用はこうで,女性用はこうするといった違いも特になさそうですから,衣装との色バランスや靴底の高さを基準に選ぶのが良いでしょう。
なお,人間用に書かれた下駄と草履の違いについては,こちらの記事が参考になるかと思います。
ドールに持たせられる和小物
ドールの手に持たせる和小物は様々な種類が考えられますが,このうち食べ物は例外的に次章でまとめることにして,ここではそれ以外の小物からいくつか紹介していきましょう!
まずは,扇子や団扇が挙げられます。
使われている和紙の色は白だけでなく,金や銀色に着色されているものがあったり,絵が描かれているものもあったりしました。
扇子は開閉できるものもありますが,開いた状態で固定されていてもOKでしょう。
和装のときは持ち物をバッグに入れるのが普通かもしれませんが,ここでは和小物ということで巾着袋を挙げさせていただきます↓
もっとも,バッグもがま口のようなデザインになっていれば和を感じられるはずです。
使用頻度は少なくなるかもしれませんが,和傘も高級とされるドール用和小物の1つで,実際に開閉できて傘職人が作成しているものが数万円で売られていたこともあります。
なお,値段が高い手持ちの獲物と言えばやはり武器でしょう。
和小物ということであれば,その筆頭は日本刀になるかと思います。
過去にオビツやボークスから数千円のものが販売され,個人ディーラー様でも取り扱いがありますが,より精巧かつ手間暇かけて作られたものには数十万円の値が付くこともしばしばです。
実際私も人形刀匠なるお方の作品を落札させていただきましたが,ドールにとっては人間でいうところの高級時計のような立ち位置で,長期間の鑑賞に耐えうるものですし,様々な場面でコーディネイトを格上げしてくれます↓
武器としては他に破魔矢や杖などもあるわけですが,五月人形の飾りを頭に浮かべてみると良いかもしれません。
その他,私が購入して良かったものは神楽鈴で,彩色は細かく丁寧で鈴も音が鳴るものでした↓
箱も豪華でこだわりが感じられます。
ドールが飲食できる和小物
ドールが飲んだり食べたりできる和小物もとにかく数が多いです。
飲み物としては酒やお茶がありますが,それらを注ぐためのとっくりや紙パックのデザインにも気合が入ったものが多く売られています。
また,食べ物については私自身,食品サンプルやスクイーズは好きな領域なのでよく調べているのですが,今だと個人ディーラー様が粘土で本物そっくりのものや非常にかわいらしい見た目の物を作ってくれているのでよりどりみどりです。
例として,最近購入したきつねうどんのミニチュアや,お団子がシマエナガになっている和菓子をみてください↓
なんとも美味しそうですし,可愛らしいではありませんか!
これを手にしたドールがまた魅力的なのですが,それはまた別のところで述べることにしましょう。
ドール部屋の雰囲気作りに役立つ和小物
ここまでで紹介できていないものと言えば,ドール部屋に置いておける和小物がそうでしょう。
座布団は最も使いやすく,スペースを取らないために洗いやすく地面からの汚れも防止できます。
カラーやサイズも沢山の物が利用できるので,ペラペラではなく凝った模様をした座布団を選ぶようにしましょう↓
なお,100均で購入できる木製のブックエンドなどを使って,座椅子のような見た目にすることもできます。
部屋に置いて和の雰囲気を醸し出せるものとしては手毬も優秀です。
私はこれで実際に遊んだことはありませんが,だからこそ逆にドール部屋に置いておくと独特な存在感を放つのかもしれません。
青森県の八戸や山形県鶴岡,鹿児島県鹿児島市で作られている手毬は郷土玩具として有名です。
この他,部屋の雰囲気作りとしてはひな祭りや五月人形の背景がどうなっているか浮かべてみるのが良いでしょう。
和を感じる花を生ければ感じが出ますし,ぼんぼり的な照明器具を用意してみるのも一興です↓
ドール用和小物のアイディアをどう得るか
ドール用に使える和小物のアイディアをどこから入手するかですが,人間用の物を良いと思っても,ドール用のものが売られていなければ無に帰すわけで,自分で作れない限りはオークションやフリマで販売されているドールの背景に注目してみることをおすすめします。
ドール自体の出来が良くても,背景が良くなければその魅力が伝わりきらなかったり,そもそもドールの雰囲気は服装や小物まで含めた全体が醸し出すものなので,人気のディーラー様であれば使う小物も厳選していることがほとんどです。
その意味で,前章で述べたひな人形や五月人形の売り出し方は,やや抽象的であるもののある意味完成された美の形と呼べるでしょう。
ドールの他に台座や屏風,花や灯に武器などの小物がセットになっています。
もちろん,ドール用品を販売しているお店でカテゴリーを絞って検索してみるのも有効です。
在庫があるものだけを表示させれば,実際に今買えるものだけが表示されるのですぐに購入できる強みがあります。
とはいえ,それだと,検索結果に出てこないものの存在にはいつまでたっても気が付けないことになり,特に個人ディーラー様の作品は中古市場に出回らないことが多いため,日ごろからドール用小物の情報を増やしておくに越したことはありません。
ドールの和小物を買う際の注意点
最後に,私がこれまでドール用小物を買うにあたって学んだ注意点を2つ紹介します!
サイズ感が重要
ドール用小物ではサイズ感が重要です。
とはいえ,この判断が実に難しく,自分のドールが1/3スケールだからといって同じスケールのものを選んだところでイマイチだったこともあります。
特にアニメ系のドールは頭身が人間と同じではないわけで,手の大きさだけで言えば1/3ドールは人間の1/5スケールくらいの手のサイズなわけです。
といったわけで,出先のガチャガチャやウィンドーショッピングで1/3スケールのものを見つけて飛びつくのは危険だと言えるかもしれません。
そのような事態を避けるために,私は購入予定のものと同サイズのものを紙で作って置いてみることにしています。
例えば,先に紹介した食品サンプルは,実物を見ることをせずにネットで購入した物になるのですが,購入前に作成した紙と届いたものはほぼ同じものだったので失敗せずに済みました↓
ちなみに,これらの食品サンプルは特にドール用として売られていたわけではありません。
また,別の時に「これは欲しい!」と思ったものを紙で作ってみたところ,想像していたよりも全然小さくて思わず胸を撫でおろした経験もありました。
といったわけで,和小物を買う際はサイズがしっかりと書かれているものを選ぶことが重要です。
こうしたものを持てるハンドパーツも用意することをお忘れなく↓
限定物が多い
ドール用和小物ですが,特に個人ディーラー様の販売するようなものだと,1度に1つしか作られないものも結構あります。
一期一会と言いますか,逃したらもう二度と買えない可能性も頭に入れておきましょう。
また,そこまでではなくても,受注販売のようなものでチャンスを逃すと次に買えるのは数年後になってしまうこともあります。
限定物が欲しければ,その機を逃さないように注意しておいてください。
まとめ
以上ここまで,ドール用の和小物について,実例の紹介と購入時の注意点をまとめてきました。
ドールは全世界にファンがいますが,日本に住んでいる我々の強みは,和風の衣装や小物が得やすいところです。
着物はサイズ感に縛りが少なく,帯を使えば着丈を含めたサイズ調節が容易となるため,使うドールの体型をそこまで限定することはありません。
それこそ老舗の呉服屋さんから布を手に入れて仕立てたような逸品を手に入れることができれば,長い期間使っていくことができるでしょう。
無いとまでは言いませんが流行にも左右されにくいので,ずっと着せっぱなしということもなくはないでしょう。
ならば,和小物の方は比較的値段も安いわけですから,季節や気分ごとに色々変化を出してみたいところです。
また,今回紹介しなかったドールハウスや背景についても和風のものを選ぶと,よりドールの魅力は高まります。
ところで,最後に挙げた購入時のポイントについてですが,あれらは主に私の失敗談から得られた教訓です。
どんなに調べたところで失敗するものがショッピングなのかもしれませんが,少しでも今回の記事がみなさまのお役に立てることを願っています。
購入できるお店については以下の記事にまとめました↓
私に和小物を売ってくださった全ての方に感謝の意を申し上げます。
当サイトをご訪問いただいた方も誠にありがとうございました。