1/3スケールのドールですが,パーツ変更の困難さを考慮すると「手が口以上に物を言う」ことは明らかで,是が非にでもハンドパーツにはこだわりたいものです。
実際,メーカーのHPを覗いてみると数多くの種類を確認することができますが,特にドルフィードリーム関連のハンドパーツは充実しているように思います。
こちらに関しては,個人で販売されているディーラー様の尽力もあるため,後述するシリコンハンドまでを含めるともはや表現できない手の形はないとまで言ってしまえるほどです。
といったわけで,今回は「1/3ドール用のハンドパーツの紹介」をメインに,その魅力に迫っていこうと思います。
1/3ドール用ハンドパーツの基礎知識
1/3スケールのドールに限りませんが,市販品を購入した際に付いてくるものとは別のハンドパーツが売られていることがほとんどです。
一例として,ボークスのドルフィードリーム用のハンドパーツを列挙してみましょう↓
ボークスが現在販売しているハンド
ノーマル,グー,開きグー,チョキ,パー,指さし,持ち手,細持ち手,キラリン
これ以外に,上記した手をすべて大きめのサイズにした「デカハンド」なるものまでが売られているため,単純計算でも全18種が存在することになりますが,他に期間限定物が登場することもあり,最近だとDD20周年記念として恋人つなぎやグッジョブの手をしたパーツが販売されました。
過去に販売されていて廃番になってしまったものもありますから,想像以上に多くのハンドパーツが存在することがわかります。
とはいえ,同じボークスでもSDにはデカハンドは存在せず,他社製のドールによっては手のラインナップがずっと少ないところもあるでしょう。
入手の容易さに加えて,グーと開きグー,持ち手と細持ち手のように似た形が存在していることなどを踏まえると,ハンドパーツは以下のように3つのtypeに分けて考えるのが良いように思われます↓
- ベーシックtype=グー,チョキ,パー,持ち手
- アドバンストtype=ベーシックの形をやや変えたもの
- フリーtype=作者が自由気ままに表現したハンド
ネーミングについては私の方で勝手に付けてしまいましたが,基本的には上に位置しているものほど応用が利きやすく下に行くほどその用途は限られてくるわけで,例えばアドバンストの開きグーの代わりにベーシックなグー手を使っても,ある程度は同じ役割を果たしてくれるでしょう。
ちなみに,DDで最初に付属していることが多いノーマルハンドはパーの形を変化させたものと見なせるため,どちらかといえばアドバンストtype寄りで,多少使いやすさに欠けるように感じます。
とはいえ,その代わりにパーハンドを買おうと思いづらいのは,それ1個を買うくらいなら大きく形が異なる他の手を買った方が良いと感じるからでしょう。
そうした意味ではアドバンストはベーシックよりも需要が低いかもしれません。
実際,ハンドパーツの手に入れやすさもベーシックが良好で,多くのメーカーのHPをみてもラインナップの中心を形成しているはずです。
とはいえ,フリーtypeに属するものの中には使い勝手が極めて優れるものが含まれていることも事実で,ベーシック以上に使用頻度が高くなっても何らおかしくありません。
というわけで,先のtype分けはあくまで目安であって絶対ではないことを知っておいてください。
ちなみに,同じメーカーで購入すればハンドパーツの色はボディと同じになるため,スキンカラーと対応サイズにだけ気を付けて購入するようにすれば大丈夫です。
ボークスの場合ですと,スーパードルフィーのカラーは7種類から,ドルフィードリームだとフレッシュ・セミホワイト・ホワイト・タンの4種類があります。
とはいえ,購入時期やロットによっては記載されている色と実際の色が多少異なることがありますし,自宅ドールが経年劣化してしまい新しく買ったものと色が合わないこともあるでしょう。
ゆえに,ドールを買った時に一緒にハンドパーツまで揃えてしまうのが理想的です。
なお,ボディとハンドパーツの作成元が異なる場合は高確率で同色とはなりません。
わざわざドールをお店に連れて行って色を比較する方もいるほどです。
その他,個人ディーラー様が販売している商品の場合,水洗いレジンを使っていたりシリコンを素材に作成していたりします。
こちらも,色はオリジナルに近いものに仕上げられていますが,完璧に同じとはならないわけです。
材質も違うとなればなおさら色合わせは難しくなり,同時にハンドパーツ自体の取り扱いにも注意しましょう(ドルフィードリームはソフビ製,スーパードルフィーはキャストレジン製です)。
とはいえ,基本的な保管方法はどれも高温多湿を避ければOKで,引っ掻いて付いてしまったような傷であればメラミンスポンジなどできれいにできます。
市販品の中では持ち手がおすすめ
先ほど,市販されているハンドパーツの中ではベーシックが使い勝手に優れると述べましたが,その中では「持ち手」が特におすすめです。
なお,ドルフィードリームのものだと,
- 持ち手
- 細持ち手
- デカハンドVer.持ち手
- デカハンドVer.細持ち手
と4種類が存在するので悩みますが,手のすき間が細すぎて物が通らないようであれば万事休すですので,特に理由がない限りは「持ち手」を選ぶようにしてください。
ゆるいのであれば後から調節が利きます。
ところで,デカハンドと通常のものとの間にはどれくらいの差があるのでしょうか。
確かに,デカハンドの方がより確実に物を掴むことができます。
持てる物の径自体は通常Ver.と大差ありませんが,どのくらい深くまで物を包み込めるのかという点で差があり,安定感が生まれるわけです。
ですが,見た目の印象が通常のものとは大きく異なるため,それを良いと捉えるか悪いと捉えるかは合わせるドール次第だと言えます。
そもそもデカハンドは撮影時に映えるようにと大きめに設計された経緯がありますが,その分,造形はゴツゴツして目立つようになるわけです。
また,人間を撮影する際,手が大き目のモデルさんは顔の近くに手を持ってこない方が良いという話も聞きます。
それでは試しにMDDのハンドパーツを使って,10mm径のシリコンチューブを持たせてみましょう!
手の深さが通常サイズの持ち手の方が浅いため,深くまで押し込む必要がないところはデカハンドより持たせやすいと感じますが,奥行きがあるような物だと通常Ver.では捻らなければ入らないこともありました↓
見た目にはデカハンドの方がしっかり握れている感がありますし,重さのある物を持たせた際の落ちにくさでは圧倒的にこちらが秀でています。
ですが外から眺めると,デカハンドは指の付け根の骨(手根骨)などが目立ってしまうため,私の場合,MDDには通常の持ち手を使うことが多いです↓
続いて「持ち手を使って細めの物を持たせたら滑り落ちてしまうのではないか」という質問に答えていきますが,その場合,先のシリコンチューブを使うことで対処できます。
細持ち手だと6~7mmのチューブを持たせられるので,例えば内径が7mmで外径が10mmのシリコンチューブを通常の持ち手との間に挟むことで,細持ち手を使ったときと同等の効果が得られてしまうというわけです。
マトリョーシカではないですが,2種類のハンドに同じ6mmのチューブを持たせてみると,細持ち手(画像左)に対し,通常の持ち手(画像右)を代用する場合は以下のようなイメージとなります↓
かませるチューブは切れ目を入れて使うことになるため,実物の太さがこれより前後しても対応できる他,シリコンチューブを挟むことで持たせた物からの色移りのリスクが軽減されますし,チューブ自体に多少粘着力があるため,掴んだ物がより落ちにくく感じられるかもしれません。
持たせる物の形が完全に円柱であるとも限らないわけですから,安定性を持たせるような使い方もできます。
ただし,シリコンチューブが万能だと言いたいわけではなく,直径が2mmなどの細い棒状の物を持たせたいと思えば,持たせる物の重さもその分軽くなるわけですから,ひっつき虫やブルタックを使ってくっつけてしまう方が楽です。
また,後述するように,個人ディーラー様のもので特定の用途に使える形をしたパーツを手に入れられる可能性もあります。
とはいうものの,持たせられるものの幅広さを考えるとやはり持ち手が一番使いやすいですし,持たせる物を変えることで色々な表現ができるため,他のハンドパーツよりもおすすめです。
ここで再度,持ち手と細持ち手の違いをまとめておきましょう↓
持ち手:9~10mmの物を持たせられる。理想はデカハンド,見た目は通常Ver.
細持ち手:6~7mmの物を持たせられる。5mm以下は不可。
この他,サイズは適合範囲内であっても,持たせる物の形状や材質によっては持たせられないことがあること,重量のある物だと長時間保持できない可能性があることを覚えておきましょう。
特に割れ物の場合,手から落下して破損してしまう恐れがあります。
ちなみに,同じドルフィードリームであるMDDとDDにおいて身長は1.3倍程度には異なりますが,持てる物の大きさに大差はなく,あったとしてもDDの持ち手の方が遊びの範囲が多少広いくらいです。
1/3ドール用レジンハンドの紹介
私がドール趣味を始めた頃は個人ディーラーの存在などを知る由もなく,特にドールイベントに参加するでも情報交換ができる相手がいるわけでもない私なだけに,レジン製ハンドを購入したのは比較的最近になってのことです。
もっとも,3Dプリンターが身近になったのはここ数年のことでしょうから,良いタイミングなのかもしれません。
このとき使われる材質は「UVレジン」ということで,SDに使われているキャストレジンとは性質が異なり,より柔らかく研磨に向く素材だと言われますが,DDに使われているソフビと比べてしまえば圧倒的に硬いです。
なので,例えばレジン製の持ち手を使うのであれば,元々設計された径よりも太めの物をねじ込んで持たせるような使い方はできません。
割れてしまう恐れがあります。
ソフビ製のハンドパーツはドライヤーで温めることで柔らかくなりましたが,レジンにそのような芸当は期待できないわけです。
逆にその硬さを生かして,特定のサイズや形に特化したものが多く作られています。
なお,ディーラー製のハンドは,前で述べたアドバンストやフリーに分類されるものが大変多く存在し,以下にめぼしいものをまとめてみるとこの通りです(名称は適宜変更しています)↓
個人ディーラー様のハンドパーツ例
ハートを射抜く,バッチリ,キャンディーを持つ,ひっかく,指のストレッチ,あごでピース,ウサギ,キツネ,アイドル,ハート,お箸を持つ,忍術,ギャルのピース,秘密,えっへん,袖を掴む,おねだり
ボークスで売られているものと比べると圧倒的に数が多い上,これらはあくまで一例に過ぎません。
実際はもっと多くの種類のハンドパーツが販売されています(とはいえ,一度販売された後で二度と再販されないものもあります)。
ところで,レジン製のハンドパーツの中には,ハンドそのものに装飾が施されていることも多いです。
その筆頭がネイルハンドで,爪先に色が塗られているだけでなく,宝石やアクセサリーが付けられているものもありますし,さらには手全体がキャラクターになってハンドパペットのような見た目になっているもの,手袋や防具を身に付けたものなども販売されていました。
また,最近だと1/3ドール用のフットパーツまでもが登場していて,例えばMDD用でつま先立ちしているものや足の指を広げたようなものを確認しています。
ここでは,私が実際に購入したものからキャンディ用とお箸用の2つのハンドを紹介しましょう!
私はドールに食べ物を持たせることが多いのですが,前者は2mm径の棒が付いたお団子を,後者はオリジナルのお箸まで付いてきて麺類を食べさせるときに大変役立っています↓
とはいえ,レジン製ハンドの扱いにはそれ用の注意が必要で,特に夏の高温下においては湿気対策が必要です。
夏期は個人ディーラー様が販売をストップしてしまうほどなので,保管についてはシリカゲルを使用するか以下の記事で紹介している防湿庫にしまってください↓
ちなみに,上に紹介したハンドは「いろねぢ」という方のショップで売られていたものですが,純正ハンドとどのように交換したかというと,まずはオリジナルハンドの球体部分を取り外します。
一定の角度にするとすぐに外せるので力は要りません↓
外したら,付属してくる別の球体と交換しましょう。
手の平部分は純粋に乗せてはめるだけで,何か別に道具が必要なことはありませんでした。
とはいえ,はまりが緩くて不安に感じる場合は,指定されたサイズの丸型ネオジム磁石(MDDだと3×1mm)を使って補強してください↓
こちらのやり方も簡単で,磁石は向きだけに気を付けるようにして(Amazonで300個くらい入ったものを買いました),接着剤(セメダインスーパーX2など)で付けるだけです。
別売のハンドジョイント(MDDだと12mmボールタイプ)は絶対必要ではありませんが,オリジナルのものより簡単に抜き差しできることもあって私は重宝しています。
オビツボディをお持ちの方は,幅が6mmのジョイントを購入してから,軸の余計な部分(ドルフィードリームよりずっと軸の長さが短いので)をのこぎりみたいなもので切ってあげれば導入可能です。
1/3ドール用シリコンハンドの紹介
1/3ドール用のハンドパーツで,表現できる種類が最も多いのはシリコン製のハンドでしょう。
まさに先の分類のフリーtypeの頂点に位置する存在がこちらです。
ハンドパーツの価格としては多少高くなりがちですが,これ1つあればハンドパーツを複数種類揃えることなしで無限に手の形を表現できるようになるため,実際はコスパが高いと言えるかもしれません。
とはいえ,構造的に内部に金属が組み込まれているので,その扱いには気を遣います。
例えば,上のキツネの手を形作る際に親指を大きく折り曲げる必要がありますが,こうすると中の金属が先端部を圧迫して灰色の部分が奥から見えてきてしまうはずです。
ちなみに,私は数回の使用で小さな穴(1mm以下ですが)が開いてしまいました。
とはいえ,それですぐさま使えなくなるようなことにはならないのですが,思っていたほどは扱いやすくなかったなという感想です(軸もマスキングテープで太らせないと緩かったです)。
また,シリコンは表面が粘着質なので,埃が付着しやすいところが気になるかもしれません↓
かなりしっかりと形を変えられるアイディア商品という点で大いに評価できますが,表現の細かさや扱いづらさの点でソフビまたはレジン製のハンドに劣るところは納得しておきましょう。
外観上の欠点として分割線が側面に確認できるところも挙げられますが,私の使い方だとあまりサイド部分は見えませんし,そもそも完璧なハンドパーツはないわけですから,自在に形を変えられるという圧倒的な強みを生かした使い方をしていけば良いかと思います。
色合いについてはオリジナルのものと遜色ありませんが,素材の質感の違いは私は気になり,片手をシリコンハンドにしてもう片方をレジン製にして使うことはありません。
逆にボディまでをもシリコン製にしてしまえば全く問題ないでしょう。
表面は弾力があり,可愛らしいパーツです。
いずれにせよ,このハンドを最初に購入することで,自分が本当に必要なハンドパーツを厳選するのに役立つと思います。
まとめ
ここまで,1/3ドールに使えるハンドパーツについてみてきました。
最後に要点をまとめておくと,ハンドパーツは入手難易度や応用範囲からベーシック・アドバンスト・フリーの3つのtypeに分けることができ,大手メーカーのショップからは最初の2つを,個人ディーラーからは主に後ろ2つを購入することができます。
ベーシックに分類されるものには主に4種類があり,比較的どのメーカーも同じラインナップを揃えているように思いますが,中でも「持ち手」がイチ押しです。
併せてシリコンチューブも揃えておくことで,持てる物の範囲も広がります。
ドルフィードリームよりもオビツボディで多少作業量は増えがちなものの,個人ディーラーが販売するレジン製のハンドパーツを利用すれば,フリーに分類される様々な手の形も表現可能です。
こちらに関しては一期一会なこともあり,気に入ったものがあればすぐに購入しておきたいものですし,1つでも多くのショップに活動を続けてもらえるよう,多くの方が購入して盛況になることを願っています。
私が購入したものの中では,お箸やキャンディーを持てるハンドや,形を自由に変えられるフレキシブルハンドの使用頻度が高いです。
特にディーラー製のハンドは概してメーカーの物よりも定価が高く,一通り揃えるとオリジナルのボディが買えてしまうくらいの値段に到達してしまうかもしれませんが,それだけの価値はあります。
ドールに手は2本しかありませんので,ハンドパーツを買い足すたびに使わないものが増えてしまうのも事実ですが,ハンドパーツ1つ変わるだけでドールの持つ雰囲気は大きく変化するわけで,試さずにはいられないのが現状です。
もはやドールの性格すら変えてしまうほどの影響力があるハンドパーツなだけに,イメチェンを試みる際には,ウィッグやアイと並んで候補先に入れてみてください。
ハンドパーツを買えるお店については以下の記事で紹介しています↓
また,入手できる確率はぐっと低くなるものの,中古店やフリマショップで個人ディーラーの商品が取り扱われていることもあるので,チェックしてみるのも一案です。
最後までお読みいただきありがとうございました。