今回は「Hanabi(花火)」というカードゲームについてレビューしてみたいと思います。
意外と持っている人が少ない協力型ゲームに分類されるもので,戦術を駆使しながら各自がメンバー全員の勝利のために行動するというルールが,新鮮で楽しいです。
まずは簡単にHanabiの概略をまとめてから,遊び方について詳しく説明していくことにしましょう!
Hanabiとは
英語だとfireworkやpyrotechnicなどと訳される花火なだけに,Hanabiというタイトルから日本のものかと思っていたのですが,そのようなことはありませんでした。
作ったのはAntoine Bauza(アントワーヌ・バウザ氏)ということで,フランス人のゲームデザイナーの手によるものです。
彼の作品には受賞しているものもいくつかあり,このHanabiも2013年にSpiel des Jahres prizeを受賞しています。
ゲームに使用するものはシンプルに2種類だけで,日本の情緒たっぷりのカードと「トークン」と呼ばれるチップのようなものです↓
最初にシールをトークンに貼る作業が必要でしたが,それ以外には特に何かする必要はありません。
ケースもトランプのものくらいに小さく,持ち運びも簡単です。
プレイ人数は2~5人(おすすめは4人)で,対象年齢は8歳以上となっているので,比較的遊びやすいゲームだと言えるでしょう。
プレイに要する時間は25分ほどとなります。
さて,海外のゲームには,あらかじめ与えられるストーリーがつきものです。
早速Hanabiの世界観について読んでみましたが,どうやら私たちは,
- 花火大会で火薬と導火線と発射薬を誤って混ぜてしまった花火職人たち
のようです。
花火大会はすでに始まってしまっているので,各人が協力して大惨事になるのを防ぎつつ,見事な花火を打ち上げる必要があります。
Hanabiの遊び方
Hanabiの遊び方ですが,簡単にポイントをまとめると以下の通りです↓
- トークンの青をふたの中に入れ,赤は外に置く
- カードは2~3人なら5枚,それ以外は4枚を配る
- 行動は情報,補充,プレイのいずれかが選択可
- 花火は1から5までの数字を順番に揃えること
- 負けか完全勝利か山札がなくなると終了
とはいえ,これだけでは何のことかわからないと思うので,以下で,詳しく説明を加えていきましょう。
準備をする
Hanabiのオーソドックスな遊び方では,カラフルな色をしたカード5枚は不要なので取り除きましょう↓
きれいですが,これは特殊ルールで遊ぶ際にのみ使います。
続けて,青いトークンを8枚すべてふたの中に入れ,赤いトークンは外に置いておきます。
さらにはカードをよく切って裏向きの山札として置き,各プレイヤーに5枚(2~3人プレイ)または4枚(4~5人プレイ)ずつ配ってゲームスタートです。
なお,配られたカードが何かを自分では見てはいけないことに注意しましょう。
このルールだけは,あまり馴染みがないものなので,特に徹底するように気をつけてください。
行動を選ぶ
カラフルな服を着ている人が親になり,時計回りで進行しますが,各人が取れる行動は以下の3つです↓
- 情報を教える
- カードを捨てる
- カードをプレイする
1つずつ説明を加えていきますが,情報を教える場合は,青トークン1枚を外に出し,他のプレイヤーの「手札情報」を教えることができます。
手札情報は,色または数字1つについてのみです。
例えば,以下のようなカードを持っている人に情報を教える場合,どういった伝え方になるでしょうか↓
色についてでしたら,次のいずれかを伝えることができます↓
「君は右から1枚目と3枚目のところに緑のカードを持っているよ」
「2枚目と4枚目が赤のカードだね」
「1番左のみが青いカードだ」
逆に,数字に注目した場合だと,
「右2枚が1のカードだ」
「1番左は5のカードだ」
などと伝えられるわけです。
協力型ゲームなので,伝えられる情報は最大のものにしてください。
これはつまり,2枚あるのに1枚の情報しか言わないようなことは禁止だということです。
また,情報をもらったプレイヤーは,カードの順番をわかりやすいように並べ替えることが許されているので,忘れないよう,例えば色別や数字の大きさ順に並び替えておきましょう。
ちなみに,ゲームが進んでいくと,ふたの中の青トークンが無くなってしまうことがありますが,その場合,情報を伝えるという選択肢は選べません。
続けて選択肢の2つ目ですが,カードを1枚捨てる代わりに青トークンを1枚増やすことができるというものです。
ただし,最初のときなどすべての青トークンがふたに入っているときはこの行動をとることはできません。
捨てたカードはふたの横に表向きにして積んでいき,捨てた分の1枚を裏向きの山から補充して手札に加えてください。
以下は先の左にあった青5のカードを捨てたときの様子です↓
ふたの中にある青のトークンは5枚から6枚に回復しています。
選択肢の3つ目は,カードをプレイするといったものです。
手札から1枚を取り,自分の前に置き,花火を作り始める(数字1の場合)か,場に出ているカードに加えます(続けられる数字だった場合)。
花火が完成したら,青トークンをふたに戻すボーナスを受け取ることが可能です。
それができない場合には,そのカードは捨て札となり,赤のトークンを1枚ふたの中に入れなければなりません。
後述しますが,これはペナルティの扱いとなります。
減ったカードの分は山札から裏返しのまま補充してターンが終了です。
花火の完成形について知る
ここで,花火の完成形について知っておきましょう。
7ならべではないですが,1から5まで同じ色をした花火を飛ばすことなく順々に並べられれば完成です。
カードの内訳についてみてみると,数字ごとに差が付けられていることに気が付きます↓
- 1が3枚
- 2~4は2枚
- 5が1枚
花火の完成には必ずすべての数字のカードが1枚は必要なわけですから,数字の5を捨ててしまえば,その時点でその色の花火は完成できなくなるわけです。
ですが,このことを逆に生かして,その色は「捨て」にすることもでき,行動の2つ目であった,カードを1枚捨てて青トークンを復活させる際に使うことができたりもします。
ゲームを終える
Hanabiの終了条件は以下の3つがあります↓
- 赤トークンがすべてふた内に入ると負け
- 5色の花火すべてが完成した場合
- 山札の最後1枚を引き,各自が手番を1回ずつ行う
1は最悪の結末です。
逆に2は完璧な勝利となり,25ポイント(満点)を獲得できます。
問題となるのは3ですが,こちらは得点計算が必要になり,花火の一番大きな数字を5色分それぞれ足し合わせてください。
例えば以下のような終わり方であれば,白から順番に数えていくと「3+4+2+1+2=12点」となります↓
大体5点刻みで評価が変わり,最高をSランクと設定すれば,以下のようになるでしょう↓
ポイント | ランク |
25 | S |
21-24 | A |
16-20 | B |
11-15 | C |
6-10 | D |
0-5 | E |
Cランク以上がおおむね高評価となります。
その他ルール
以上が主な遊び方になりますが,その他,いくつか特別なルールを設定することができます。
コミュニケーションの常時許可
なお,ゲーム中のコミュニケーションについては,厳密にやるというのであれば,行動の1つ目(青トークンを外に出すとき)のみでしかできないことにしますが,慣れないうちは,いつでも状況について相談することを許可してやる方が面白いでしょう。
グランドフィナーレ
先ほどの終了条件から,3を無くしたもので,山札が無くなっても,残ったカードを使って完全勝利か負けが確定するまで続けるものです。
負けは赤トークンが3枚ともふたの中に入るか,花火の完成に必要なカードが捨て札になっている場合に確定しますが,完全勝利となった暁には手札が最も少ないプレイヤーが勝利となります。
時限花火
行動の選択肢の3つ目で,カードをプレイするというものがありましたが,時限花火というルールは,その際,自分の選んだカードの色を前もって宣言するというものです。
正しければ,それだけで青のトークンを1枚ふた内に戻すことができます(通常ルール通り,花火が完成になったときはそこでも1枚戻せます)。
しかし,もしも色が間違っていた場合は,そのカードは問答無用で捨て札行きとなり,ペナルティとして赤トークンを1枚ふたの中に入れてください。
なお,このルールを採用する際には,色の宣言をするかどうかを毎回プレイヤーがその都度決められることも覚えておきましょう。
色の雪崩
先ほど,遊び方の準備について記述した際,多色カードを5枚除くようにと書きましたが,色の雪崩というルールにおいてはこれら5枚を6色目として扱います。
それぞれが1枚しかないため,より難しくなりますが,最高得点は30点にまで伸びるので,腕に自信がある場合は挑戦してみましょう。
まとめ
以上,フランス生まれの協力型ゲーム「Hanabi」の遊び方についてまとめてきましたが,いかがだったでしょうか。
カードは日本的な情緒たっぷりで親近感がわきやすく,ルールも行動の選択肢だけを3つ覚えてしまえば,そこまで混乱なく遊ぶことができます。
以下にもう一度遊び方をまとめておくと,
- トークンとカードを正しく配置し,手札は見ない
- 行動は「情報・トークン補充・花火作成」のいずれか
- 花火は1~5まで順に揃えると完成し得点になる
- 追加ルールがいくつか存在する
- 多色カードも使うとベテラン級
のようになるでしょうか。
「協力型ゲーム」というと,以前パンデミックを紹介しましたが,準備段階が結構大変で,ルールを周りに説明するだけでも結構な時間がかかりました。
もちろん,その分自由度が高く,協力し甲斐がある名作ではあったのですが,今回のHanabiは持ち運びしやすく,遊び方も他人に教えやすく,それでいて戦略性があるカードゲームでした。
より多くの人に勧められるように感じるので,興味を持たれた方は是非遊んでみてください↓
値段的にみても,手が出しやすい価格帯だと思います。