今回は「パンデミック:新たなる試練」というボードゲームのレビューをしていきたいと思います。
自分が医療研究チームの一員となり,力を合わせて病原体の蔓延を防ぐのが目的です。
なお,本ゲームで特徴的なこととして,プレイヤー内で勝敗が決まらないことが挙げられます。
つまり,全員一緒に病原体に勝利するか敗北するかのどちらかしか結末はありません。
ここではゲームの概要について確認し,実際に遊んでいくことにしましょう!
パンデミック:新たなる試練の概要
今回レビューするのはパンデミックシリーズの中でも最も人気の高い「パンデミック:新たなる試練」です。
Amazonでのレビュー件数も確認してみましたが,本作がダントツでした。
元祖に「パンデミック」があるのですが,それとはデザインが一新され,「危機管理官」と「検疫官」という新たな役割が加わりました。
本ゲームではプレイヤーの役割ごとに特殊能力を保有するのですが,それだけ戦略の幅が広がった格好になります。
もっとも基本的なルール自体に変更はなく,プレイ人数は2~4人,目安の時間として45分くらいかかるゲームです。
対象年齢が13歳以上と高めなのは,本ゲームが戦略的な思考を必要とするからでしょう。
難度は比較的高めです。
ちなみにシリーズとして,新たなる試練の他,
迫りくる機器・研究所・科学の砦・完全治療・接触感染・緊急事態宣言・レガシー・クトゥルフの呼び声・イベリア・ライジングタイド・ローマの落日・迅速対応・ホットゾーン
などが出ています↓↓
内容物は以下の10種類↓↓
- ゲームボード
- 役割カード7枚
- プレイヤーのコマ7個
- 調査基地のコマ6個
- マーカー類6個
- 病原体コマ96個
- 感染カード48枚
- プレイヤーカード59枚
- 参照カード4枚
- ルールブック1冊
結構種類がある分,なかなかに奥が深いゲームに仕上がっているわけです。
製作者はマット・リーコック氏で,日本での輸入販売元はホビージャパンとなっています。
ちなみにゲームの目的をここで一度整理すると,敵は4種類の病原体(黄青赤黒)であり,それらが地球上の都市を覆う前に,それらすべての治療薬を発見すれば勝ちです。
逆に負けとなる条件は,アウトブレイク(感染の連鎖)が一定回数以上発生してしまうか,病原体コマや引くカードが足りなくなったら負けになります。
ゲームの準備
まずは準備をしましょう!
やる流れは以下のような感じになります↓↓
- アトランタに調査基地を置く
- 各種マーカーを置く
- 9都市を感染させ,残りを山札にする
- 役割を決め,コマとカードを配る
- プレイヤーカードの山札を作る
スタートはアメリカのアトランタからです。
そこに調査基地コマを置きます。
続けて,アウトブレイクマーカーや治療薬マーカー,感染率マーカーをボード上に設置しましょう↓↓
次に役割を決めます。
全部で7つの役割がありますが,プレイヤーの人数分しか参加できません。
つまり4人でプレイする場合,残り3つの役割は破棄され,そのゲームには登場できないことになります。
次に,青い十字マークの付いたプレイヤーカードからエピデミックカードを除き,2人プレイなら4枚,3人プレイなら3枚,4人ゲームなら2枚ずつを手札として配りましょう。
以下は4人プレイの場合の手札です↓↓
エピデミックカードを何枚使うかについては4枚から6枚まで自由に選べますが,少ない方が簡単になるので,最初は4枚で行いましょう。
プレイヤーカードをエピデミックカードと同じ枚数分の山に分け,エピデミックカードを加えてよく切ります。
最後にその山札を合わせて裏返したまま,プレイヤーカードの山札置き場に置きましょう。
エピデミックカードが偏りなく出てくるようにするということです。
次に病原体を配置します。
感染カードを3枚ずつ3回引きますが,1回目に引いた3枚の都市に3つずつの病原体を置きましょう。
例えば,以下のようなカードが出たら,テヘランに黒を3個,シカゴに青を3個,そしてボゴタに黄色を3個配置します↓↓
人口が最も多い都市を引いたプレイヤーから始めます(北京を引いた衛生兵からです)。
ゲームの進め方
- アクションを実行する
- プレイヤーカードを2枚引く
- 感染を処理する
の3ステップです。
これをすべて終えたら,左隣のプレイヤーへと番が移ります。
とはいえ1つ1つで結構考えますし,プレイヤー間で相談もできるので,ここで感じる協力の楽しみこそが醍醐味です。
アクションを実行する
プレイヤーの取れるアクションですが,以下の8つの選択肢から最大4回まで実行可能です(同じものを何度も選択してもOKです)↓↓
- 白線で繋がった横の都市に移動する
- 都市カードを捨て札にし,そこに移動する
- 自分が今いる都市のカードを捨ててどこでも行ける
- 調査基地がある都市間であれば自由に移動可能
これらは「移動アクション」と呼ばれます。
その他のアクションとしては,
- 調査基地の設置
- 感染者の治療
- 知識の共有
- 治療薬の発見
がありますが,自分が現在いる都市名のカードを捨て札にすると,移動する以外に調査基地を設置することも可能です(すでに6つのコマを使い切っている場合,他の都市のものを今いる都市へと移動します)。
感染者の治療では,いる都市にある病原体のコマを1つ取り除けますが,治療薬が発見されている場合は,その色の病原体をすべて取り除くことができてしまいますが,別色の病原体の場合は,一度に全部は取り除けません。
数回に分けて治療しましょう。
治療薬が発見された状態で,そのコマがボード上に無くなったら根絶となり,治療薬を裏返します。
知識の共有は2人のプレイヤーが同じ都市にいる場合,その都市のカードを受け渡しできます。
受け取って枚数が7枚を超えたら捨て札にするか,イベントカードを捨てないといけません。
自分のコマが調査基地のある都市にあって,手札から同じ色の都市カード5枚を捨て札にすることで,その色の治療薬を発見します。
この動作が勝利へとつながるわけなので,もっとも大切なアクションです。
発見したら治療薬のマーカーを病原体のイラストの上に移動します。
なお,これらの行動中,意見を述べ合って相談することは可能です。
プレイヤーカードを引く
アクションの後,プレイヤーカードの上から2枚のカードを引きます。
問題があるとしたら,エピデミックカードを引いてしまったときでしょう。
残念ながら基本的に悪いことしか書かれていないです↓↓
感染率を上昇させ,感染カードの山札の「底から」1枚引き,その病原体が根絶されていない限り,そのカードの都市にその色の病原体を3つ配置します。
同じ都市に同じ色の病原体は3つ以上置けないので,もしそうなってしまったらアウトブレイクの処理をします(後述)。
感染カードの捨て札にあるカードを裏向きにしてシャッフルして,残った感染カードの山札の上に置きます。
エピデミックカード自体はゲームから取り除くことに注意してください。
また,もし仮にエピデミックカードを2枚引いてしまったときは,1枚目と同じ処理を2回行うこととなり,最後山札の上に置くカードはその1枚だけになりますが,それでOKです。
感染の処理
プレイヤーの最後の仕事として,感染の処理を行います。
感染率表の数字と同じ枚数のカードを最終的に公開することになりますが,1枚ずつ終えてから次の都市を公開します。
このような言い方にこだわる理由は,1枚目と2枚目の間にイベントカードを使用することができたりするからです。
いずれにせよ,まずは公開した都市に病原体コマ1個を置きます(根絶されているコマの場合は置かずに済みます)が,すでに3個置いてあるときはアウトブレイクとなってしまいます。
これまで保留していた「アウトブレイク」についてここで紹介しましょう。
起こってしまった場合,感染率表のマーカーを1段階先に進めなければいけません。
続けて,その都市と白線でつながったすべての都市に,同色の病原体コマを1個ずつ配置してください。
もしそのときさらにアウトブレイクが発生してしまったら,同じ動作を繰り返します(ただし,病原体がやって来た都市に病原体コマを置くことはしません)。
処理を終えた都市は感染カードの捨て札置き場に置きましょう。
どうなったら終了か
パンデミックのゲームの終了は,プレイヤー全員が勝利するか敗北するかのどちらかです。
勝利条件は,4つすべての病原体の治療薬を発見することです。
病原体コマがいくつかの都市に残っていても,4種の治療薬さえ発見してしまえばプレイヤー側の価値となります↓↓
逆に敗北条件は以下のいずれかです↓↓
- アウトブレイクマーカーが8回発生し,ドクロの位置まで進んでしまった場合
- プレイヤーが病原体コマを配置しようにも,ストックに残っていない場合
- プレイヤーカードを2枚引くときに足りなくなった場合
その他のカードについて
イベントカード
イベントカードは自分の手番中で,かつカードを引いて解決している作業中以外はいつでも使うことが可能です。
全5枚で,こちらはエピデミックカードの反対で良いこと尽くしとなります。
なお,もしプレイヤーカードを引いて2枚エピデミックカードだった場合は,最初のエピデミックを解決した後に使用することはできます(1枚目の前に使うのは不可)。
使ったカードはプレイヤーカードの捨て札のところに置きましょう。
プレイヤーカード
特に最初のうちは(例えばエピデミックカードを4枚で始めるレベルでは),自分の手札であるプレイヤーカードを周りの全員が見えるように公開しましょう。
それ以上のレベルであれば(エピデミックカードを5~6枚使用の場合),手札は他のプレイヤーに見せず,会話のみでプレイすることで難度が高い状態を維持したままプレイできます。
なお,捨て札置き場のカードは誰でもいつでも確認することが可能です。
役割カード
危機管理官:1アクション使って,プレイヤーカードの捨て札にあるイベントカードを1枚取り,自分の役割カードの上に置くことができますが,これは手札の枚数に数えません。つまりイベントカード1枚を絶えず保険としておいておくことができるわけですが,使用後は捨て札には置かず,除かなければなりません。
通信司令員:1アクション使い,仲間プレイヤーの同意のもと,他のプレイヤーコマがある都市に移動できる。またはほかのプレイヤーのコマを同意のもと,自分のコマの代わりに動かせる。なお,チャーター便は動かす相手の都市のものを自分の手札から捨てます。
衛生兵:その他のアクションにあった「感染者の治療」を行う場合に病原体コマを同色すべて取り除ける特殊能力を持ち,治療薬が発見済みの場合は,移動するだけで同色のコマすべてを取り除けるが,このときアクションを消費しません。なお,衛生兵のいる場所に治療薬発見済みの病原体コマが置かれることはありません(アウトブレイク時も)。
作戦エキスパート:1アクション使用し,都市カードを使用せずに自分のいる位置に調査基地を設置可能。また,これは自分の手番で一度しかできないが,自分が調査基地にいる際,何か都市カードを捨てて,好きな都市に移動できる(通信司令員が作戦エキスパートを移動する際,作戦エキスパートの特殊能力は使用不可)。
検疫官:自分がいる都市と,それに隣接する都市に病原体コマが置かれること(アウトブレイクも含む)を防ぐことができます(準備時のコマに効果なし)。
研究員:知識の共有において,通常は今いる都市のカードを渡すところを,他の都市のカードに変えることができる。
科学者:同じ色の都市カード4枚を捨て札にするだけで,同色の病原体の治療薬を発見可能(普通は5枚必要)。
まとめ
以上,パンデミック:新たなる試練のレビューでしたがいかがだったでしょうか。
最初は理解するのに時間がかかりますが,すぐに慣れて,振る舞い方を戦略的に考えられるようになると思います。
もしも久しぶりにやるような場合や,初めて遊ぶようなときには,是非今回の記事を役立てていただけたらと思います。
数としては珍しい協力型ゲームですので,是非楽しんでみてください!
最後までお読みいただきありがとうございました。