キュボロには歴史的にみても,沢山の教育的価値がありますが,入手困難なところや高い価格設定がネックとなり,おいそれと手を出すことができません。
かといって,値段が多少安いからと,キュボロ人気にあやかったフェイク商品を買うのは全くおかしな話です。
そんなことを許しているメーカーの品性が疑われますし,もはや子どもに何を教育しているのかわからなくなってしまいます。
そこで今回は,在庫があり,キュボロと同じような教育的価値を提供できているおもちゃを探してみることにしました。
簡単に言えば「キュボロの代用品」となり得る知育玩具たちです。
以下で紹介しているものの中には,これまでに知らなかった魅力的なものもあると思いますので,是非参考にしてみてください!
キュボロに学ぶ教育的価値
とはいえ,まずはキュボロ自体の教育的価値についてまとめるところから始めましょう。
キュボロスタンダードのレビューで述べたように,こちらは「玉の塔」を作る知育玩具で,ヨーロッパでは教育機関に用いられることもあります。
5cm角のキューブを積み木のように積み上げながら,外側のくぼみやに内部のトンネルの道を想像しながら道を作るのが楽しく,仕上げのチェックでビー玉を転がして,スタートからゴールまで正しく到達すれば完成です。
値段は高いですが,それに見合うだけの品質を備えており,パーツごとに差が生じないよう慎重に作られています。
キュボロで遊ぶことにより,子どもは
- 空間把握能力
- 論理(プログラミング)的思考力
- 創造力
といった資質能力を育むことができますが,どれも高いレベルにまで到達できるところがキュボロならではの教育的価値だと言えるでしょう。
そもそも,キュボロの開発者は特別支援学校に勤務していて,立体的な学習教材で遊べるゲーム形式のものを作ろうと思ったことがきっかけです。
ただ単に積み上げていくだけの積み木とは異なり,キュボロでは横のキューブとの関係性を考えながら積み上げていかなければならず,さらにキューブごとにくぼみやトンネルのパターンが異なっているため,各パーツの役割をしっかり理解していなければ正しい道は決して作れません。
これはまさにプログラミング的思考に通じるものです。
加えて,キュボロではコンテストが開催されるくらい,作品を作り上げるために創造力を必要とします。
例えば,キュボロの達人によって作られた作品をパターンバインダーや今だとTHE BOOKにおいて確認できますが,どれも唸ってしまうほどの完成度を誇っており,同じセットを使って作っているとは信じがたいもののはずです↓
総合力でキュボロに勝るおもちゃはそうそう見つけられないと言って過言ではありませんが,「積み木」だけの要素に限ってみるなどすれば,他の玩具メーカーも独自の工夫を施した商品を販売しているところがあり,決して負けていません。
ここでは,「積み木・道を作る・玉転がし」の3つの要素ごとに,キュボロの代わりとなるおもちゃを探してみることにしましょう!
どれもキュボロと同じくらいの対象年齢(3~5歳以上)を想定しています。
積み木としてのキュボロ代用品
積み木は空間把握能力を鍛えるのにうってつけのおもちゃです。
人間の目は見たものを平面(テレビの画面のようなもの)でしか捉えられませんが,見えていない部分を脳が補完して全体像を補うことで,立体として認識することができます。
キュボロではビー玉を上から下へと落とす必要があるため,段差やつなぎ方を考えながらキューブを積み上げていく作業が必ず必要になるわけです。
そこで,キュボロの代用品としては,何の考えもなしに積み上げたり,何らかの設計図に従って積んだりするだけではなく,積むことによって新しいものが創造できるか,知能テストで問われるような図形を実際に手で作りながら確認できる積み木をおすすめします。
ここではくもんとレゴを紹介しましょう!
図形キューブつみき
1つ目は,くもん社の「図形キューブつみき」です。
5色のカラフルなキューブを積み上げて遊ぶだけにとどまらず,パターンカードが付属しているのが魅力で,そこには全部で36個の例が載っていて解説も付いてきます。
問題は「同じ形の図形を作ってみよう」という内容ですが,目には見えない側にどのようなキューブを使えばよいのか,頭を使って想像しながら積む必要があるわけで,大学入試や就職試験でも同様の問題が出題されていることを考えると,幼少期のうちに学んでおきたい内容です。
解くことができたらシールを貼ってお祝いできるようになっているため,楽しく学ぶことができます。
レゴクラシック黄色のアイデアボックス
レゴを積み木と呼んでしまうのはいかがなものかと思いますが,ブロックを積み重ねて形を作る点においては変わりないので,こちらで紹介しましょう。
私の塾に来ている中学生がやたらと空間図形が得意だったので,どうしてそんなにできるのか尋ねてみたところ,
子どもの時にずっとレゴで遊んでたから,そのときできるようになったんだと思う
と語ってくれました。
レゴでも設計図通りに作るものが存在しますが,空間把握能力を伸ばすことに成功する子どもというのは,ブロックを自由に積み上げて新しい物や形を作ることにこそ喜びを感じるものです。
ただの積み木ですと,組み上げてちょっとしたら壊してしまいがちですが,レゴでお気に入りの物を1つ作るとそれでしばらくは遊び続けるという違いがあります。
愛着がわきやすいのが特徴であると言えるでしょう。
玉を転がす系でキュボロの代用品となるもの
キュボロは高い位置からビー玉を転がして,その動きを見守ります。
途中,内側にある道を通ることもあるため,玉は一時的に視界から消えますが,また再度出現してくるところが面白く感じられるでしょう。
玉を転がすことは最終的なチェックを意味し,これまでに積み上げてきた論理の答え合わせのようなものになります。
上手く行かなければ何が悪かったのかを考えて修正しますが,これはPDCAサイクルを回していることと同じです。
玉が転がる様子を眺めるだけでも純粋にワクワクしてくるものですが,ただビー玉を転がすのではなく,それまでの道筋を自分で考えることが重要で,これがプログラミング的な思考を育むことになります。
プログラミングと言っても,パソコンを使って暗号を打ち込むようなものではありません。
意外と誤解されがちですが,小学校のプログラミング教育では,「各パーツの特性を理解し,適材適所に配置できる能力を育てること」が目標です。
将来的には社員の特性を把握して適材適所に人員を割り当てられる,というそんなリーダーシップに繋がることを国は期待しています。
ロジカルルートパズル
上から下にボールを転がすおもちゃで,その間の道を作るのが,このくもんの「ロジカルルートパズル」です。
積み木要素はありませんが,純粋に玉転がしとして遊ぶことができるのはもちろん,論理的思考力を育むこともできます。
キュボロほどではないですが,各パーツには真下に行かせるパーツ以外に横の道に移動させるパーツがあるので,子どもはこれら2種類をうまく使って正しいゴールに入れられるように道を作らなければなりません。
中にはトンネルパーツと呼ばれるものもあって,玉の出方を試行錯誤しながら組み合わせていく必要もあってなかなかに高度です。
上に紹介したものは「3D」と書かれているだけあって,以前にレビューしたものよりも考える要素が多くなる分,難しくなっています↓
道を作る玩具でキュボロの代わりになるもの
道を作って,立体的な何かを走らせる玩具といえばプラレールが有名で,最近のものは人気キャラクターが車になっていたり木製レールのものもあったりします。
基本的には平面になりますが,多少高さは出せますし,ただレールを繋げるだけでなく,途中に何かしらの機能を持たせた部品を挟むことによって,別の道に誘導できたり,変わった動きができるようになるため,この場合は論理的思考力や創造性を育むことになるでしょう。
カードに書かれた内容を読み込んで,その通りに動くプログラミングカー的な知育玩具もあるくらいです。
とはいえ,継続して遊んでくれるかわからない子ども相手なだけに,キャラクターものを選んでおくのが無難で,飽きてしまった場合であってもそれ単独で遊んでくれるので,失敗するリスクを軽減できます。
きかんしゃトーマス木製レールシリーズ
こちらは「きかんしゃトーマス」の木製レールシリーズです。
プラレールはタカラトミーの商標ですが,こちらはマテル社が販売しているもので,メーカーが変わるとレールに互換性はないので注意してください。
最初に買う場合は,どのメーカーにするかの選択を迫られますが,電車好きであればプラレール(お土産に新しい車両を買ってあげられます),トーマス好きや木製レールに魅力を感じる方にはこちらをおすすめします。
もっとも,このトーマスシリーズもいくつかの商品展開がされているので(アニマルパーク・チャーリーのクレーン,トーマスとバーティのレースなど),拡張性もなくはありません。
アンパンマンドライブカー
右左上下の4つの指示を組み合わせて,アンパンマンの車を目的地まで進めるプログラミングを学べます。
例えば,中央から左上に行く方法は「上→左→左」と3つのコマンドを入力し,最後に決定ボタンを押す以外に「左→左→上」のような行き方もありますし,遠回りをしてよいのであれば無限の行き方があるでしょう。
それこそ,「途中病院に寄る」だったり「この道は工事中で通れない」だったりの独自ルールを設けることで,より深くそして長く遊ぶことができます。
本来の目的以外であっても,アンパンマングッズとして楽しめるのもポイントですね。
同じくらい人気があるものに,「ポケモンのころがスイッチ」も知られています。
こちらもキャラものなので,本人の好きなものを選びましょう。
キュボロにコンセプトが近い代用品
他にも色々なものが見つかりましたが,例えばくもん社の「くみくみスロープ」は,キュボロに含まれる,積み木・玉転がし・道づくりの3要素をすべて含むため,キュボロにかなり近い遊び方ができそうです。
また,品質の良さで言えば「ネフスピール」を語らないわけにはいきません。
皇室の御用達で愛子さまや悠仁さまが遊んでいる映像を観たことがある方も多いでしょう。
くみくみスロープ
素材がプラスチックとなり,組み立てがキュボロより難解にはなるものの,作品集が付いているため,まずはそれに従って作り,慣れてきてから自分で作ってみるのが良いでしょう。
キュボロだと追加セットを買わなければならないようなジャンプ台などのパーツも,セットによっては全部付いてくるので,アクロバティックな玉の動きを楽しむことができます。
詳しくは以下でレビューをしているのでご覧ください↓
ネフスピール
美しさを追求した積み木で,建築業に携わる方のデザインを採用したのが「ネフスピール」です。
考案者のクルト・ネフ氏は子どもの教育のことや利益を出すことなどを考えることなく本玩具を生み出しましたが,素材もキュボロ並みにこだわっていて,今では日本の皇室にも支持されるくらいにまでなっています。
通常の形をした商品もありますが,こちらはリボン状のデザインがウリで,普通の積み木しか知らない子どもにとってみれば,驚きの積み方ができて楽しめるでしょう。
キュボロと異なり,4色に塗り分けられているので,色分けにも気を配りながら積み上げることができるところもユニークです。
まとめ
以上,キュボロの代用品として使えるおもちゃをいくつか紹介してきましたがいかがだったでしょうか。
キュボロはそれ1つの完成度が極めて高い知育玩具ですが,その要素は積み木的な要素と玉を転がす要素,そして道を作る要素の3つに分けられるように思います。
中には,くみくみスロープのような例外もありますが,多くはそれ1つだけで同じ教育的価値を発揮することはできません。
しかしその場合も,今回紹介したような知育玩具を複数購入することで同じような資質能力が得られることになります。
冒頭で述べたように,最近は何か売れるとすぐにまがい物が登場し,中にはキュボロと見間違うような商品名やパーツの形をしているものがあるわけで,さながらロレックスやヴィトンのコピー品のようです。
是非ともみなさんは,そのようなものに手を出さず,自分の教育方針に沿ったおもちゃを選ぶことによって,子どもの知育を行っていただけたらと思います。
最後までお読みいただきありがとうございました。