今回は,キュボロの問題集・参考書的なものにあたる「パターンバインダー」についてレビューしてみたいと思います。
どんな使い方ができて,どういった方に必要となるのか,また各種パターンバインダー間にどのような違いがあるのかなど,これからキュボロで深く学ぼうと考えている方に役立つ内容になれば幸いです。
また,用途に応じたおすすめも紹介しています。
これまでに3冊出ていますが,順番に1つずつ紹介していきましょう!
パターンバインダー1は万能型
キュボロで遊ぶときの基本的な考え方や組み立てた例を実際に紹介するのが,最初に発売されたパターンバインダーである「cuboro1」です。
初版は2001年。
いわゆる2穴のバインダーの形をしていて,必要なページを外すことができるのはもちろん,押さえつけるための金具も見られます↓↓
バインダーのサイズは縦横が20cm強,厚みは3.5cm。
ただし,同じ内容が6ヵ国語で書かれているので,厚みから想定されるほどの量はありません。
内容は大きく2つに分かれており,前半の7枚は基本原理を扱う「基礎編」,そして後半の13枚で「大きな塔の組み立て方」を学びます(課題が1枚1枚外せるわけなので,「ページ数」よりも「紙の枚数」で見ていくことにしています)。
つまり20枚の紙が中に入っているわけです。
目次は以下のようになります↓↓
基礎編
それでは基礎編からみていきましょう!
最大13個のキュボロブロック(パーツ)を使用して,応用の利きやすい基本形を学習していきます。
繰り返しますが,全部で7枚です。
ここでは4枚目(D)の例をみていきますが,「5種類計6つのパーツを組み合わせて,表面と内側の両方を通る玉の道を作る」という課題になっています↓↓
スタートのパーツ(No.12)と何も加工されていないプレーンなパーツ(No.1)はその下に固定となるでしょうから,残った4つのパーツを組み合わせて道を作っていきます。
以下は私が勝手に作った最もつまらない解答例で,表面のコースを一切通ることなしで,すぐさま内側のトンネルへとビー玉が落ちていくものですが,すべてのパーツに1つ以上の機能を持たせているのでルール的にはOKとされるものです↓↓
ちなみにキュボロでは,スタートからゴールまでなるべく時間がかかる方が評価が高いとされます。
パターンバインダーにはもっとも上手に組み立てた例が示されているため,解答例を超えることは決してできないでしょう。
ですが,自分の作ったどんな玉の塔であっても,ビー玉がトンネルに落ちてから長い時間をかけて出てくると「うまくいったぞ,しめしめ」と嬉しくなります。
ちなみに2つ後の章で紹介する「バインダーの3冊目」を買わない場合は,本書の解答を全く見ずに「指示されたパーツだけで玉の道を作ってみる」のがおすすめです。
なお,基礎編の最終課題では7種13個のパーツを使います。
理論上は100パターン以上作ることが可能ですが,なかなかルールが分かってきました↓↓
基礎編の最終課題 pic.twitter.com/4sAdJJauNX
— さんくす (@thanks_redo) June 8, 2020
余談ですが,基礎編の半分(3枚)は,キュボロのスタンダードを購入した時に入っていた日本語解説書とまったく同じ例となっています。
もっとも,このバインダーでは実物の写真を使用していたり,組み合わせで提示されている例の数もより多いため,日本語の解説書はあくまで「ダイジェスト版」でしかありません。
組み立て例
後半は13個の組み立て例が載っています。
ここでも3つの例(1と2と6)が日本語の解説書に転載されていましたが,残り10個の例は,コンクールでの優勝作品を含んだ大作ばかりなので,味わいながら組み立てることで幅広いテクニックが自然と身に付いていくように感じました。
私が特に気に入ったのは,5枚目の「王の玉座」です。
スタンダードに含まれる54個のパーツ全てを用いますが,玉座を中心に渦を巻くようにビー玉が進む様子は圧巻でした↓↓
パターンバインダーvol.1の組み立て例です。 pic.twitter.com/cBUAzYnlcT
— さんくす (@thanks_redo) June 8, 2020
ただしこの「cuboro1」,スタンダードセットしか持っていないと8~13の作例を作ることはできません。
補充セットにしか含まれないパーツが必要となるからです。
ベーシスしか持っていなければ3枚目までしか作れません。
今後,補充セットを導入する予定がない方だと,ちょっともったいないと感じるかもしれませんね。
ちなみにこのバインダーの巻末には,キュボロの全シリーズにどのパーツが含まれているのかが詳細に記載されているので,計画的に購入できます↓↓
もちろん基礎編だけでも充実していましたし,補充セットをいつか手に入れようと思うのであれば余計におすすめですね。
パターンバインダー2はスタンダード完全対応
続けて,キュボロパターンバインダーの2冊目(cuboro2)のレビューですが,こちらは完全にスタンダードセットに対応しています。
初版は2008年で,内容は,キュボロコンクール常連のClaus Gittnerの名作12点を収録したものです。
なお,作者はこんな方です↓↓
Vol.1の後半部分はスタンダードだけでは作れませんでしたが,安心してください。
本書では全ての例を組み立てられます。
なお,cuboro2の1枚1枚は小さく折りたたまれていて,開くと38cm×63cmのようにだいぶ大きくなるのが特徴です↓↓
Vol.2の12枚すべてがこんな感じで収録されています。
ここでも1つ作ってみましょう!
なお,収録されている塔はすべてパーツを50個以上使用する大作であり名作です。
多くの方がまず驚くのは,1階部分の配置でしょう。
上側の方の配置が適当な感じがしますが,なんとこれで合っています!
ずれていません。
設計書に従って,さらに上へと積み上げていったものがこちらです↓↓
それでも絶妙なバランスでコースが成り立っているのは,まさにコンクール常連だからこそ為せる技でしょう。
さあ,完成した例がこちらになりますが,作者はこの作品にどんなタイトルを付けたと思いますか?
ヒントは全体から想起される形です↓↓
cuboro2からのお気に入り pic.twitter.com/rLKndAJh1u
— さんくす (@thanks_redo) June 8, 2020
いやぁ,凄い動きですよね。
自分で1から組み立てるとその凄さがさらに伝わります。
ちなみに正解ですが,「Dog」でした。
私はこれと,10番のシーソーがお気に入りです。
パターンバインダー3は公式問題集
パターンバインダーのVol.3にあたる「cuboro3」は完全に問題集です。
全部で24問あり,ヒントや解答のページに加えて,初級~上級のレベル表示もされています。
こちらの初版は2010年。
上記2冊と比べると,かなり真新しい内容です。
問題集を解く前にルールの欄が設けられており,まとめると以下の通りとなります↓↓
- スタートからゴールまでの道を考える
- 描かれているすべてのパーツに意味を持たせること
- 1段下に下がるときは滑らかにつなげること
- 楽しむこと!
2つ目の「意味を持たせる」というのは,道の一部になること以外に「土台になる」というのも含まれます。
あるパーツを取り去っても同じコースを通るようでは不正解ということです。
解答は全問題に対して塔の例が描かれているわけではありませんし,ヒントも難しいものだけですが,ビー玉を転がせば分かりますし,もしあれでしたら,私に聞いてください!
ちなみにキュボロスタンダードでもベーシスでも全問解答できますが,使えるパーツが少ない分,ベーシスの方が難しく感じるでしょう。
それでは具体的な問題をみていきますが,ここでは1問目を取り上げます。
ページの上部に青い丸が1つ付いているので,こちらは「初級レベル」の問題です↓↓
問題1:上記の形をした塔であれば,指定された3つのパーツ以外は置き換えて構いません。スタートからゴールまでの塔の道を作ってください。
基本的には,指定されているパーツ(今回はNo.12が3つ)以外の多くを置き換えることになります。
正解と不正解の例はこちら↓↓
左ではなくても困らないパーツが5つほど存在しているので間違いです。
右のパーツには無駄がないのが分かるでしょう。
ちなみにレベルが上がるほど,どんどん条件が厳しく,そして塔の高さも高くなっていきます(最高5段)↓↓
まとめとおすすめ
以上,キュボロの公式問題集とも呼べる「パターンバインダー(cuboro1~3)」の紹介でした。
簡単にそれぞれの巻の特徴についてまとめると,
- Vol.1:幅広い用途に使用可能。将来的に補充セットも加えるならこれ
- Vol.2:スタンダードを購入し,名作に触れるならこちらがおすすめ
- Vol.3:問題集形式で解いていきたい方はこれ一択
となります。
もちろん,まったくこういった書籍に頼らず,すべて自分の気づきのみで楽しむこともできますが,どんな形であれ,楽しむことは忘れないでおきたいものですね。
キュボロはテストではありませんから,子どもができなくても叱るようなことのないよう心掛けましょう!
最後までお読みいただきありがとうございました。