今回は,キュボロの問題集や参考書的なものにあたる「パターンバインダー」についてレビューしていきたいと思います。

残念ながらすでに廃刊となってしまいましたが,どのような使い方ができ,どういった方に向いているのか,はたまた全3巻から成る各種パターンバインダー間にどのような違いがあるかなど,忘備録として残しておきましょう!
今だとCUBORO THE BOOKが新しく発売になっていますが,完全に同じ内容とは言い難いので,中古で探してみるのも良いかもしれません。
いずれにせよ,順番に1つずつ紹介していきましょう!
注意ポイント
以下に出てくる商品名ですが,2020年まで発売されていた旧セットのものです。なので,現在のものと名称やセット内容が異なっていることにご注意ください。例えば当時の「スタンダード」は現在のSTANDARD50よりもパーツが4つほど多いですし,逆に「ベーシス」は現STANDARD32よりパーツ数が2つ少なかったりします。
パターンバインダーcuboro1は万能型
キュボロで遊ぶときの基本的な考え方や組み立てた例を実際に紹介しているのが,最初に発売されたパターンバインダーである「cuboro1」です。
初版は2001年で,2穴のバインダーの形状をしていて,必要なページだけ外すことができ,以下のように押さえつけるための金具が存在しています↓
バインダーのサイズは縦横が20cm強の厚みは3.5cmです。
手を目いっぱい広げるとこのくらいになると思いますが,同じ内容が6ヵ国語で書かれている関係で,文字数はさほど多くありません。
ですが,収録されている内容は貴重で,構成は大きく2つに分かれ,最初の基礎編(7枚)で基本原理を学び,後半の13枚で「大きな塔の組み立て方」を学びます。

目次は以下のようになります↓
基礎編
それでは基礎編からみていきましょう!
最大13個のキュボロブロック(パーツ)を使用して,応用の利きやすい基本形を学習していきます。
ここでは4枚目の例をみていきますが,「5種類計6つのパーツを組み合わせて,表面と内側の両方を通る玉の道を作れ」という課題になっていました↓
写真を見る限り,どうやら答えは1つではなさそうですが,とりあえずスタート用のパーツ(No.12)と何も加工されていないプレーンなパーツ(No.1)の位置が1つ決まったので,後に残った4つのパーツを組み合わせて道を作ることにします。
以下は私が勝手に作った最もつまらない解答例で,表面のコースを一切通ることなしに,すぐさま内側のトンネルへとビー玉が落ちていくものですが,すべてのパーツに1つ以上の機能を持たせられるとルール的にOKです↓
ちなみにキュボロでは,スタートからゴールまでなるべく時間がかかる方が評価が高いとされていました。
パターンバインダーに最も上手に作られた例が示されているため,解答例を超えることは到底不可能でしょう。
ですが,自分の作ったどんな玉の塔であっても,ビー玉がトンネルに落ちてから長い時間をかけて出てくると
うまくいったぞ,しめしめ
などと嬉しくなります。
ちなみに,2つ後の章で紹介する「バインダーの3冊目」を買わない場合には,本書の解答を全く見ずに指示されたパーツだけで玉の道を作ってみるのがおすすめです。
なお,基礎編の最終課題では7種13個のパーツを使うことになります。
理論上,100パターン以上を作ることが可能ですが,試行錯誤しているうちになかなかルールが分かってきました↓
基礎編の最終課題 pic.twitter.com/4sAdJJauNX
— さんくす (@thanks_redo) June 8, 2020
組み立て例
cuboro1の後半は13個の組み立て例が載っています。
このうち1と2と6は他所でも目にするものですが,残り10個の例は,コンクールでの優勝作品を含んだ大作ばかりなので,味わいながら組み上げていくことで幅広いテクニックが自然と身に付けられるように感じました。
私が特に気に入ったのは,5枚目の「王の玉座」です。
スタンダードに含まれる54個のパーツ全てを用い,玉座を中心に渦を巻くようにビー玉が進む様子は実に見事でした↓
パターンバインダーvol.1の組み立て例です。 pic.twitter.com/cBUAzYnlcT
— さんくす (@thanks_redo) June 8, 2020
ただし,スタンダードしか持っていなければ8~13の作例を作ることはできません。
というのも,補充セットにしか含まれないパーツが別途必要になるからです。
もしもベーシスしか持っていないのであれば,なんと3枚目までしか作れません。
こちらはつまり10作品は作れないことになるわけで,その場合,cuboro1は割高であると感じられたでしょう。
ちなみに,このパターンバインダーの巻末には,キュボロの全シリーズにどのパーツが含まれているのかが詳細に記載されているので,計画的に購入することができました↓
パターンバインダーcuboro2はスタンダードセットに完全対応
続いて,キュボロパターンバインダーの2冊目(cuboro2)のレビューをしますが,こちらは完全にスタンダードに対応しています。
詳しいレビューは以下の記事で行ないました↓
初版は2008年で,内容はキュボロコンクール常連のClaus Gittnerの名作12点を収録したものです。
なお,作者はこんな方です↓
Google翻訳で上のドイツ語を訳してみると,「彼は常に新しく素晴らしい組み合わせを生み出し続けている」との内容でした。
cuboro1の後半部分はスタンダードだけでは作れませんでしたが,本書では全ての例を組み立てることができます。
なお,cuboro2の1枚1枚はずっと小さく折りたたまれていて,開くと38×63cmくらいにかなり大きくなるのが特徴です↓
cuboro2の12枚すべてが上のような感じで収録されていました。
ここでも1つ作ってみましょう!
なお,収録されている塔はすべてパーツを50個以上使用する大作かつ名作です。
多くの方が高確率で驚くことになるのは,1階部分の配置でしょう↓
上側の方の配置が適当な感じがすると思いますが,なんとこれで合っています!
そして,設計書に従って,さらに上へと積み上げていったものがこちらです↓
このような積み方ができる方は世界におそらく彼くらいでしょう。
それでもって絶妙なバランスでコースが成り立っているわけですから,まさにコンクール常連だからこそ為せる技です。
完成した例が以下のものになりますが,作者はこの作品にどんなタイトルを付けたと思いますか↓
cuboro2からのお気に入り pic.twitter.com/rLKndAJh1u
— さんくす (@thanks_redo) June 8, 2020
ヒントは全体から想起される形です。
それにしても,ビー玉が物凄い動き方をしていますね。
自分で1から組み上げてみると彼の凄さが実によく伝わってきますが,先ほどの作品名の答えを言うと「Dog」でした。
私はこれと,10番のシーソーがお気に入りです。
パターンバインダーcuboro3は公式問題集のよう
パターンバインダーの3巻目に「cuboro3」はまるで問題集のようです。
全部で24問が用意され,ヒントや解答のページに加えて,初級~上級のレベル表示までされています。
こちらの初版は2010年となり,これまでの2冊と比べるとかなり真新しい内容です。
問題集を解く前にルールの欄が設けられており,まとめると以下の通りとなります↓
- スタートからゴールまでの道を考える
- 描かれているすべてのパーツに意味を持たせること
- 1段下に下がるときは滑らかにつなげること
- 楽しむこと
2つ目の「意味を持たせる」というのは,道の一部になること以外に土台になることも含まれます。
逆に,あるパーツを取り去っても同じコースが成り立つようであれば,それは不正解ということです。
解答は全問題に対してヒントとなる塔の絵が描かれているわけではありませんし,ヒントも難しいものにしか付いていませんが,ビー玉を転がせば正解かどうかはすぐに分かります。
ちなみにキュボロのスタンダードでもベーシスでも全問に解答することができましたが,使えるパーツが少ない分,ベーシスの方が難しいと感じるでしょう。
それでは具体的な問題をみていきますが,ここでは1問目を取り上げます。
ページの上部に青い丸が1つ付いているので,こちらは「初級レベル」の問題です↓
問題1:上記の形をした塔であれば,指定された3つのパーツ以外は置き換えて構いません。スタートからゴールまでの塔の道を作ってください。
結果的に,指定されているパーツ(今回はNo.12を3つ)以外の多くを置き換えることになりましたが,正解と不正解の例はこちらです↓
画像左では,なくても困らないパーツが5つほど余計に存在しているので不正解ですが,右のパーツにいたっては無駄なものがありません。
ちなみに問題の難易度が上がるほどにどんどん条件が厳しく,そして塔の高さが高くなっていきます(最高5段)↓
まとめとおすすめ
以上,キュボロの公式問題集とも呼べるパターンバインダー(cuboro1~3)の紹介でした。
簡単にそれぞれの巻の特徴についてまとめると,
- cuboro1:幅広い用途に使用可能。将来的に補充セットも加えるならこれ
- cuboro2:スタンダードを購入し,名作に触れるならこちらがおすすめ
- cuboro3:問題集形式で解いてみたい方におすすめ
となります。
もちろん,こういった書籍に全く頼らず,すべて自分の気づきだけでcuboroを楽しむことも可能ですが,いずれにしても,楽しむことを忘れないでおきたいものですね。
そういった意味では,大作を組み立ててみるのは良い経験になるように思います。
もっとも,現在では廃刊なので,中古を探すしか手に入れる術はありませんし,現在売られている基本セットは当時のスタンダードの代わりになりませんが,興味がある方は探してみてください。
最後までお読みいただきありがとうございました。