今回ですが,「くるっぴー」という大変ユニークな玩具を紹介します。
一見するとゼンマイで動くだけの小さな車のようですが,狭いテーブルの上で走らせてみてください。
初めて見た人であれば,その車が決して地面に落下しないことに度肝を抜かれることでしょう。
これまで何かを分解した経験がない方であっても,一体どのようなギミックが組み込まれているのか,大変気になることと思います。
なお,この玩具には思った以上の種類が存在しており,これまでにくるっぴー化したものの中には乗り物以外のキャラクターも含まれていますし,動力源に電池を用いたくるっぴーも存在するようです。
早速みていきましょう!
くるっぴーとは
くるっぴーは株式会社丸彰が製造するゼンマイ式の小さなおもちゃです。
同社の創業は1957年ということで比較的長い歴史があり,東京都葛飾区に本社を構えては,乗り物に特化した面白い動きの商品を開発しています。
会社のHPに「企業のイメージアップに貢献」と書かれているように,丸彰に発注する会社の多くは魅力的な乗り物を所有しているところばかりです。
彼らが販売元となって企画書を提出し,丸彰が請け負って製造するといった構図になるのでしょう。
実際,丸彰の主要取引先には全日空や江ノ島電鉄,JR西日本といった有名どころがずらりと並んでいます。
何をくるっぴー化するかで多少の違いは生じてきますが,6.5×6.0×4.5cmほどの箱に収まるサイズになることがほとんどで,対象年齢は3歳以上となっています。
しかし,ゼンマイで動くおもちゃというのは最近あまり見かけなくなりましたね。
面白い仕掛けでエコでもあるのになんとも残念なことです。
一番最後に見たのはファミリーレストランで貰える子どものおまけくらいで,玩具だとZOIDSやチョロQくらいでしょうか(プルバック式なのでわかりにくいですが,チョロQもゼンマイを動力源にしていて,通常のつまみ部分がタイヤになっていると考えるとわかりやすいでしょうか)。
なお,ゼンマイ式以外のくるっぴーの存在も確認でき,単4電池を入れて長時間動かし続けられるのですが,こちらの対象年齢は6歳以上です。
対象年齢が高くなっている理由としては,電池式のものの方がより大きなパワーが出せることが考えられるでしょう。
確かに6歳未満の子に遊ばせてしまうと,髪や手が車輪に巻き込まれる危険性が高まります。
回転型のおもちゃは大人でも危険で,以前私も,UFOドローンが後ろから飛んできて髪の毛を巻き込まれてしまいバッサリと切る羽目になってしまいました。
とはいえ,くるっぴーには安全な玩具の証明であるSTマークを確認することができるので,正しく使えば問題ありません。
さてそんなくるっぴーですが,普段は観光施設のお土産コーナーに置かれていることが多いものの,毎年注目を集めるイベントがあります。
それはずばり「受験」です。
くるっぴーが備える「落ちない」という特徴は受験用のお守りとしては選ばれやすいもので,他だとモノレールのワイヤーや歴史上不落だったお城,はたまたマンホールから虫の抜け殻までとバラエティーに富むのですが,おもちゃがお守りになったものは少ないように感じています。
袋に入った形をしていないために筆箱や学校鞄にぶら下げることはできませんが,丁寧な作りであるだけに,好きな乗り物のくるっぴーを贈られた子どもはきっと喜ぶでしょう。
大々的に販売されないこともあって現在何が販売中なのかまでは分かりかねますが,これまで以下のようなくるっぴーが販売されています↓
販売が確認できたくるっぴー
JAL飛行機,ANA飛行機,泉北高速鉄道,5820系シリーズ21,日立電鉄,50系車両,神戸電鉄3000系,神戸市営地下鉄1000形,嵯峨野トロッコ列車,大阪モノレール,阪急電鉄6300系,ジンベエ号,京阪電鉄8000系,江ノ電300形,OTS100系,JR西日本225系,ゆふいんの森,東北新幹線E5系はやぶさ,九州新幹線つばめ,湘南モノレール5000系,ウルトラマン,デジモンアドベンチャー,サイブリア宗谷など
電車が中心となっているものの,思っていた以上に多様な顔ぶれです。
なお,上の赤字は電池駆動のものが存在することを示しています。
くるっぴーの里山トロッコをレビュー
それでは実際のくるっぴーをレビューしていきましょう!
元になったモデルは「小湊鐡道の里山トロッコ」です。
こちらは鉄道ひろばというHPを見ていて知りました。
パッケージからすでに楽しく,背景が描かれていた他,会社のロゴマークも印刷されていました。
中身だと本体以外は大したことがなさそうですが,箱の形をしていたプラスチックケースは実は簡易的なレールとして使うことができ,簡単にくるっぴーで遊べるように工夫されています(開けづらい時は前面の蓋の上部を下に押しながら開いてみてください)↓
変形にもロマンが詰まっていることを改めて認識することとなりました。
動かしたときの様子についてみていく前に,本体の外観をみてみますが,3歳児が遊ぶ玩具にしては丁寧な塗装が施されており,印刷された数字や記号もきれいです。
現代の技術の進歩を感じます。
くるっぴー化するにあたって乗り物はデフォルメされることになるため,ほどよい大きさと相まって非常に可愛らしく見えます。
それではゼンマイを巻いて動かしてみましょう!
「ゼンマイの巻きすぎに注意」とは書かれていたものの,具体的に何回まで巻いて良いのかがわからずじまいでした。
とはいえタイヤを押さえながら8回くらい巻いてみると,もうこれ以上いかないように思えたので,感覚だけで十分判断できそうです。
それでは,先ほどのケースの上を走らせてみたときの様子をご覧ください↓
動きは想像以上にパワフルで,狭いところであっても落ちません。
一体どのような仕組みで動いているのでしょうか。
くるっぴーが落ちない仕組み
さすがに分解してまで落ちない仕組みを解明したいとは思いませんが,底面から眺めるだけでも多くの不思議構造を発見することができました。
上の写真で,明らかに違和感があるのは横向きのタイヤ(以後「特殊タイヤ」と呼ぶことにします)だと思います。
これが大きな役割を果たしていることは間違いありません。
ゼンマイが巻かれると,3対あるタイヤの中央に位置するタイヤ(②)と特殊タイヤ(①)が同時に動くことになるわけですが,通常時,本体は3対のタイヤによって支えられており,それよりも小さめのサイズである特殊タイヤは地面から浮いた状態になっています↓
しかし,本体がケースから落っこちそうになると,この状態がどのように変わるのでしょうか。
前のタイヤが宙に浮いた状態になると本体は前傾するわけで,その際,特殊タイヤが地面と接することになります↓
特殊タイヤは横向きなので,まず最初にその構造が通常タイヤの前進する力を止めることになるでしょう。
同時に自らは右方向に回っているわけですから,これはさながら車のハンドルを右にきった状態と同じ状態です。
つまり,前輪が落下している状態が続く限り本体はその場でくるくる回転することになるわけで,まさにこれがくるっぴーが落ちない秘密であると言えます。
回転することでなんとか前輪が地面と接する位置にまで戻ると,再び特殊タイヤは宙に浮き,最初の前進運動を再開することになるわけです。
もっとも,それ以外に工夫が見られないかといえば決してそのようなことはなく,前輪は変わった形状をしていて,上下に動きやすいため,元の位置にカムバックしやすくなっていることがわかります。
さながら大変便利なアームをお持ちの自動ロボットのようです。
まとめ
以上,くるっぴーの特徴と実際のレビュー,さらには落ちない仕組みにまで最後迫ってみましたが,私のつたない説明で皆様の理解は深まったでしょうか。
くるっぴーは面白い玩具として魅力的であるだけでなく,受験のお守りとしても用いることができると述べました。
私がもし今回の里山トロッコくるっぴーをあげるとしたら,上の写真のように色々とセットにして渡すと思います。
くるっぴーを通してその乗り物にまつわる知識が増えることは是非ともお伝えしたいところです。
旅行先だったり施設見学に行ったときだったりのお土産として購入すれば,このおもちゃを見るたびに当時の記憶が思い出されるでしょう。
そうした意味では大変学びの多いおもちゃですね。
値段もゼンマイ式のものなら1000円以内なので,出先で見かけることがあった是非購入してみてください。
最後までお読みいただきありがとうございました。