「1/3ドール用のウィッグ」ですが,どのような種類のものが売られていて,一体何に注意して選ぶようすれば良いのでしょうか。
フェイスメイクに次いでアイと同じくらいに印象を大きく変えてくれるウィッグなだけに,幅広い候補があることを念頭に入れた上で比較検討し,これぞというものを選び取りたいものです。
ここでは実際の例やウィッグ周りの関連用品も併せて紹介してみたいと思います。
1/3ドール用ウィッグの基礎知識
1/3ドール用のウィッグを選ぶ際に気にすべき点については,ボークスのウィッグの品番の中にその答えを見つけることができました↓
品番をみるとアルファベットや数字が並んでいるのですが,最初のWはウィッグの頭文字ということで問題ないものの,それに続く数字とアルファベットには特定の意味合いが付与されています。
これらは,
- 形(ショートやロングなどの見た目による違い)
- サイズ(DはDD,NはMSD・SDM,CはSDC,無印はSD用)
- 色(ウィッグのカラーのことで種類は多彩)
のいずれかを示しており,まさにウィッグ選びではこの3つの要素が重要です。
最初のもの(W-129D-16T)を例に説明すると,「129番の形」で「DDに対応」し,さらには「16Tの色」であるということがわかります(もっとも,これらの番号を聞いたところでウィッグがどのようなものなのかまではわかりませんが)。
この3要素をもう少し深堀りしてみましょう。
サイズについて
ウィッグ選びで最も重要なのはサイズです。
小さいサイズのものだとそもそも装着できませんし,大きいものもやたら頭でっかちになって可愛い顔が台無しになってしまうでしょう。
ちなみに,1/3スケールのドールにおいて頭回りのサイズは以下のようになっています↓
ドールの種類とウィッグサイズ
DD=22.5cm(8.9インチ)
SD=23.5cm(9.3インチ)
MSD=19cm(7.5インチ)
SDC=16.5cm(6.5インチ)
アイリスコレクト=19.0cm(7.5インチ)
アイリスコレクトプチ=21.5cm(8.5インチ)
センチとインチを併記しましたが,実際に売られているウィッグは「7~8インチ」といった具合に幅を持たせた表記になっていることが多いです(1inch=2.54cm)。
同じシリーズのドールであってもヘッドの大きさに個体差があるように,同じウィッグとして売られていてもサイズ差があることに注意してください。
とはいえ,0.5インチくらい大きい程度であればヘッドキャップなどを使って調節することが可能です。
形について
ウィッグの形は単純なものと複雑なものに分けることができますが,一見単純に見える物でも毛量が少なくなっていたり,クセが付けられていたりと意外と手がかかっているものがあります。
ちなみに,複雑になればなるほどにウィッグの値段は高くなる傾向にあり,簡易なものだと数千円台で買えますが,高いものはオークションで数万円の値が付けられることもしばしばです↓
このような凝った造りをしたウィッグを地面に寝かした状態で保管するのは不安ですが,世の中にはウィッグ用のスタンドが売られてたりもします。
値段の安いものは概ね軽量で,重量のあるウィッグを載せた途端にスタンドごと倒れやすいので,ある程度の価格帯で頑丈そうなものを選ぶのが良いでしょう。
1つあると,ウィッグを自分好みに加工する際にも役立ちます。
ちなみにウィッグの素材には人間用と同じものが使われていることが多く,サランやトヨカロンの他,耐熱ファイバーが使われていると言われていますが,これらの素材から直接ドールに色移りすることは,特殊な染料を使っていない限り起こりません。
注意すべきは毛髪の出どころであるウィッグキャップに使われている糸の方で,濃い色の方が色移りの度合いが激しいものの,淡い色の糸であっても黄色い色移りを引き起こす場合があります。
なお,耐熱性のないウィッグにアイロンパーマをかけようものなら(またはドライヤーの温風ですら)瞬時にちりちりになってしまうもので,耐熱性のある繊維を使っていても人間の髪ほどは熱に強くありません。
非耐熱性のものだと90℃,耐熱性のものでも140℃を超えればもう危うく,一番弱いパワーから始めて様子を見ながら徐々に上げていくようにしてください。
ウィッグの色については無数に存在すると考えて構いませんし,光の当たり方で見え方も変わるので,朝と夜とで同じウィッグが異なるように見えることもあるほどです。
1/3ドール用ウィッグを実際にみてみよう
前章で基本的な知識について理解していただけたかと思うので,ここでは実際のウィッグを見ながら理解を深めていきましょう!
色はゴールド系で統一してみましたが,すべてSalafinaというディーラー様から購入した物です。
無加工のウィッグ例
まずはほぼ加工されていないウィッグになりますが,写真のようなショートのものから地面に付く長さのロングヘアーまで幅広く存在し,無加工ですぐに使い始められる物以外にあえて前髪を重くしていて,購入後に自分好みにカットして使うことが前提になっているようなものまで売られています。
造形がシンプルなウィッグは変な癖がついていないので扱いやすく,ボンドなどで固められていないことも多いため気軽にブラッシングすることが可能です。
手を伸ばしやすい価格帯であるのも魅力的で,2000~5000円で売られている場合がほとんどでしょう。
とはいえ先述の通り,毛を梳いて毛量が少なくなっていたり,毛の長さがわざと不揃いに仕上げられていたり,髪の毛が良い香りでサラサラになっていたり,工場から納品されたものをダブルチェックしてから出荷していたりと,単純な見た目からは想像できないくらい手が込んだものも存在します。
髪色についても目を凝らせばゴールドに白が混ざっていることに気が付くこともありますし,中にはあとから染め直しているものもあって,想像以上に手間がかかっているようです。
造形ウィッグの例①
以上のノーマルウィッグをさらに加工し,見た目に特徴を持たせたものをここでは造形ウィッグと呼ぶことにします。
例えば以下のウィッグの場合,今流行りのインテークが入っているのが特徴です↓
さりげない加工ではありますが,インテークがあるおかげでノーマルのものとは受ける印象が大きく異なり差別化することに成功しています。
とはいえ,この部分にクシを通したいとは思わないですし,掃除をしにくいというデメリットも併せ持っていることは確かです。
前髪部分もよくみると癖付けされていました。
このように,造形ウィッグはノーマルの状態にさらに手を加えているために値段が多少高くついてしまう傾向にあり,大体は5000~8000円くらいで取引されることになるでしょう。
造形ウィッグの例②
ドール用のウィッグでも加工を加えていくともはや芸術作品のように思えるのですが,そうした造形ウィッグに10000円以上の値が付けられていてもおかしくないことについては,ヤフーオークションの例をすでに紹介しました。
以下はツインテール部分に綺麗なカールがかけられている他,前髪部分も固定されていて,大変に凝った造形をしたウィッグです↓
クシを通したところで髪の癖が取れてしまうことはないのですが,固められた形状をほぐしてしまうと後に戻すのが大変ですし,保管にも気を使います。
とはいえ,上のようなウィッグをスタンドに飾りつけるだけでも見た目に映えて楽しめるのが魅力の1つと言えるでしょう。
ドールにセットする回数が増えるたびに少しずつその造形は崩れていくものの,「思った以上に長持ちする」というのが抱いた感想で,ウィッグにかなりの存在感があるため,ドールの見た目を大きく変えてくれました。
扱いづらさに関連するデメリットよりもメリットの方が明らかに大きいです。
1/3ドール用ウィッグは被せ方にこだわろう
1/3ドール用のウィッグですが,ドールの目が隠れる程度に深めに被らせてから,後方にひっぱりあげてセットするのが基本です。
時にはキャップを完全に裏返してから被せることもありますが,その場合,ウィッグの前方をおでこあたりに当てて押さえてからウィッグの後頭部を被せるようにします。
実際の様子については以下の動画が参考になるでしょう↓
とはいえ,粘着性のあるキャップを使って固定する場合,あとからウィッグをそこまで大きく動かせないので,最初からある程度狙った位置に被せるなど,自身の経験に負うような場面も数多く出てきます。
誰かの最適解が自分のベストにはならないことはお忘れなく。
同様の理由で前髪の分け方の好みも人それぞれですし,ドールの顔によっても合う合わないがあります。
私はよほどの理由がない限り,ウィッグからの色移りが起こらないようにキャップを付けることにしていますが,ウィッグがきつめだった場合,そうするだけの物理的スペースがないかもしれません。
きつめのウィッグを無理矢理被せようとして爪でヘッドに傷をつけてしまったこともありましたし,小さすぎるウィッグを何とか着用させるべくキャップ部分をはさみで切って広げたもののどうにもならない経験もしました。
逆に緩めのウィッグだとすぐに落っこちてしまうので,そうならないようピタッとリングやシリコンキャップのようなものを使って防止することになりますが,しばらくしたら粘着成分の残留がないかどうか(特に初心者や湿度が高くなる時期には)頻繁に見直すようにしましょう。
私はシリコンキャップはそれが怖くて長時間付けられません(ボークス社のヘッドキャップを使うことが多いですが,それすら貫通して色移りすることを知って以来,そこまで気にしなくなりましたが)。
また,上の方法とは逆に,数センチ前髪を降ろしてみることで印象がずっと良くなることもあります。
いずれにせよ,「なんだか見た目がイマイチ」と感じる場合には,前髪の位置を上げ下げしてみるようにしてください↓
それによって最初にお迎えした時の愛情が戻ってくることもあるほどです。
眉毛が見える高さと見えていない状態とではそのくらい印象が異なります。
ドール用ウィッグをカットしてみよう
折角買ったドール用のウィッグにハサミを入れるのは最初は抵抗があるでしょうが,植毛タイプのドールやもう2度と手に入らない代物ならばまだしも,買い直せるものの場合はちょっと整えて切るところから始めてみましょう!
使用するのは散髪用のものですが,大きくカットするようなときは梳きばさみも用います。
この他,小さいハサミもあると便利です。
切るべき髪は見た目に明らかで,特に縮れた毛であれば目立ちますし,クシを通したところで元通りになることがないので積極的に切っていきます↓
このとき,明確に折れ曲がった箇所があればその上で切るのも良いですが,それだと今度は外にピンと飛び出した感じになってしまうかもしれません。
なので,髪の根本まで遡って切ってしまうか,いっそのこと引き抜いてしまいましょう。
このとき,近くにある他の正常な毛を巻き込まないように注意してください(ただし,ドール用のウィッグでは髪の毛が1本単位で抜けることは少なく2本以上が一気に抜けることもしばしばです)。
毛量が少なめのウィッグの場合はハゲる事態も想定しながら,行うか否かの判断を下しましょう。
ちなみに,髪にボリュームを持たせるために縮れ毛をあえて作ることがあり,これを「ふかし加工」などと呼ぶようですが,最近はボークスの鏡音リン・レンRebootの発売時に世間を騒がしました(参考)。
この場合,これらの縮れ毛を切り去ってしまうのはむしろ悪手ですので,あえての技術が用いられていないかどうかにも気をつけましょう。
特にウィッグのサイド部分はどうしてもハゲやすい傾向にあり,それを隠すような形でウィッグが仕上げられている場合も多いです(これは毛量を減らしてすっきりさせることとのトレードオフとなるため回避がしにくいです)。
ウィッグの癖付けが気に入らないような場合はカール部分を切ってしまうか,お湯パーマをかける選択肢もあります。
これは熱湯をウィッグにかけて乾かすことでクセを取る技ですが,耐熱性のあるウィッグでないとチリチリになってしまう可能性が高まる他,髪の毛を固定している接着剤などはすっかり洗い流されてしまうことに注意してください。
なお,ウィッグのカットは気の長い作業になるため,切った髪は地面に落として後で一気に掃除機をかけたり,疲労を感じたらすぐに止めるなど,精神的に辛い思いをしないことも重要でしょう。
最近は切った毛を集めるのに,ひっつき虫やマスキングテープやブロアーを使ってラクしています。
ドール用ウィッグを梳かしてみよう
ドールの髪を梳かすことは様々な意味で重要です。
見た目が整うことはもちろん,頭を手で撫でていることが癒しタイムになることもあります。
とはいえ,髪を梳かす際に道具を使うことも多く,このとき用いるのはクシの他,歯ブラシも有効です。
これらの使い勝手は似て非なるものですので,最初は2種類とも揃えて比較してみることを強くおすすめします。
どちらも安いものは数百円で購入できるでしょう。
クシはウィッグの毛の内部にまで深く入り込んで真っすぐにすることに長けているので,しっかりと髪を梳かしたい際におすすめです。
さらにはクシ自体の掃除がしやすいため,次章で紹介するオイルなどを髪に塗る際にも重宝しています。
逆に歯ブラシは髪の表面を撫でることに長けているので,アイメイクを傷つけずに髪型を整えやすく,髪の表面についた埃を除去するような使い方も可能です。
特にお団子や三つ編みのあるドールにはクシは使えません。
ただし,歯ブラシに付着した埃というのは実に取り去りにくく,全体的に汚れが目立ちやすいのが気になります。
ドール用ウィッグに整髪料を使ってみよう
ドール用ウィッグにオイルやミストを使うことで,形をきれいに整えたり質感を変化させることができます。
商品としては複数の種類が売られており,どれも大容量のためこれまでに使い切ったことはないのですが,できる限り揃えておきたいものです。
以下でいくつか紹介してみましょう。
オイル
整髪料としてはオイルが最もベーシックで,ウィッグ用のものが安価で手に入ります。
水のようでいて乾くと数日くらいはソフトに固定してくれるのが特徴で,ドールを撮影する前に塗布する方も多いでしょう。
吹いた直後は水に濡れた感じも出せます。
ただし,水っぽいだけにドールの顔に付きやすいので,ティッシュを添えた状態でクシに向かってオイルを吹き,そのクシを使ってウィッグを梳くなどしてください。
ワックス
次に紹介するのは水性のワックスで,ドールウィッグ用のものが売られています。
指または綿棒を使って塗ることになりますが,オイルよりもキープ力は気持ち強力でしっかりと髪に付けられるために濡れた感じも出しやすいです。
おまけに良い匂いがわずかにします。
ミスト
ミストはだいぶ強力な仕上がりで,塗布してから1ヶ月が経ってもウィッグにパリパリ感が残るほどです。
人間の髪にムースを使った後の仕上がりと言うのがわかりやすいでしょうか。
ウィッグの髪型を特殊な形のまま固定したいような際に使うことが多いです。
ちなみに,上のボークス製のミストは水性ワックス以上に強めの匂いがします。
悪くはありませんが少し薬品的な匂いとなり,個人的には長く嗅いでいたいものではありません。
裁ほう上手
ここからは番外編になりますが,アホ毛のようにいったん固定したらもう2度と崩れて欲しくない造形があるようなときに「裁ほう上手」という商品を使うことで強力に固定することができます。
当初はアホ毛が少しでも乱れると気になっていたものですが,このボンドを用いるようになってからは手を入れることがすっかりなくなりました。
先がピンととがった状態で,しかも少量の毛がしっかりと固まります↓
このときのポイントは水でよく薄めて使うことです。
くれぐれも原液をそのまま塗ることのないようにしてください(ベタベタして白い粉をすぐに吹いてしまいます)。
元々はドールの衣装を張り付けて作る際のボンド的な役割で購入したのですが,意外な使い方ができると知ったときには驚きました。
実は昔から有名な方法です。
ウィッグ用シャンプー
こちらは一転して,ウィッグの汚れを落とすためのシャンプーになりますが,最後に紹介しておきます。
整髪料の塗布に失敗してしまったり,年数が経ちすぎて通常の方法ではウィッグの汚れを除去できなくなったようなときに使いますが,加工されたウィッグでない限りは積極的に使ってしまって構いません。
使い方は水(熱湯はダメ)に適量を溶かし,ウィッグを押し付けるようにして汚れを落としたら,あとは水で濯いで乾かすだけです。
人の髪にコンディショナーを使ったときのようにサラサラになることはなく,シャンプー後のキシキシした感じで仕上がってきますが,その後にオイルなどを使うので問題ありません(トリートメントミストなるものも売られています)。
熱湯を使うわけではないので,髪に付いた癖がそこまで取れるようなことにはなりませんが,逆にサラサラストレートを目論んでいる場合には,洗った後にお湯パーマを別に行うようにしてください。
つい先日もウィッグ用シャンプーを使うことがありましたが,乾くまでの時間が短く目に見えてきれいになるので,毎回のように「洗って良かった」なと思います。
まとめ
以上,1/3ドール用のウィッグについて,その選び方からケアの方法まで幅広くまとめてきました。
ドール用のウィッグには実にたくさんの種類があります。
サイズが合ったウィッグを買うことと熱にはめっぽう弱いことを念頭におきつつ,色や造形にこだわって理想のウィッグを選ぶようにしてください。
複雑な造形のウィッグであっても意外と扱いは難しくありません。
保管についてもウィッグスタンドを用意すれば容易で鑑賞にも耐えうるでしょう。
フェイスメイクやアイと同様,ドールの印象を大きく左右する要因になるだけに,購入後にカットしたりケアの面でも余念がないようにしてください。
お店については以下の記事に述べています↓
最後までお読みいただきありがとうございました。