ドールの着物!どうやって着せる?

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子どもの頃の夢はおもちゃ屋さん。東大院で研究に没頭したときの名残で,おもちゃの本質を徹底的に調べてしまいます。20年の指導歴で「賢い子は知育玩具に強い」と確信。ZOIDSやドールなど,自ら購入した逸品のみをレビューし,半永久的に残る「おもちゃ博物館」を建てるべく10年のWeb運営を継続中。詳しいプロフィールは 運営者情報 をご覧ください。

ドール用の着物だからと侮ることなかれで,人間用のものと遜色ない造りをしたものが実際に手に入るドール界です。

襦袢や帯に加えて各種小物までもが利用でき,形や色や柄はたくさんの種類があります。

逆に人間の方は着物と縁がないことが多く,人によってはドールをきっかけに初めて着付けを経験することになるかもしれません。

当記事では「ドールの着物の基礎知識」をまとめた後,実際の着付けの様子を詳しくみていくことにしましょう!

ドールの着物の種類について

ドール用の振袖

ドールの着物において,人間用のものを単にスケールダウンさせたものが究極形です。

もちろん,手軽さや値段の安さを優先してパーツや素材を簡略化することもありますが,それはできるだけ本物に近づけようとした上での苦渋の決断であることが多いでしょう。

もっとも,最近はミニスカートのものやフリルが付いた物など,独自アレンジを施して可愛さを優先したものが登場してきていますが,これは人間用のものも同じです。

それに基本を押さえた上でのアレンジになるため,当記事でまとめた着物の知識が無駄になることはありません。

さて,ドールの着物ですが,袖の長さによって大きく2つに分けて考えましょう↓

ドールの振袖

通常サイズ:中~大振袖に相当。ふくらはぎからくるぶしあたりにまで袖が来る。腰上げの他,裾を引きずるタイプのものもあり,後者は外出用には使われない。

短めサイズ:小振袖に相当。袖の長さは膝あたりに来る。カジュアルな服として扱われ,下に袴を合わせることも多い。

なお,年中着られる裏地の付いた着物には「袷(あわせ)」という名前が付いており,春~秋に着られる裏地のない単衣と区別されます。

もっとも,夏は浴衣に取って代わられることが多いため,単衣の使用頻度は袷に比べて低めです。

続いて,帯部分に目を向けてみましょう!

こちらは背中部分の形で長いもの(だらり帯など)と短いもの(羽根・文庫・片流しなど)に分けることができる他,帯まわりの小物には以下のようなものが存在します↓

帯まわりの小物

帯締め:帯が崩れないように締める紐。ファッション用途にも使われる。

帯揚げ:ドール用は帯枕を包むためではなく,印象を変えるために用いる。

腰紐や伊達締め:服の着崩れを防ぐもの。綿以外にゴム製のものも多い。紐の数は着物に2本,長襦袢に1本以上使う。

帯まわりに関してはドール用のものと人間用のものとで違いが生じやすいところだと思います。

帯板や帯枕がないこともありますが,一番の違いはドール用の帯の形はあらかじめ決まっていることがほとんどなところでしょう。

浴衣用ならまだしも,着物用の平坦な帯を一から折って成型することはありません。

次に,着物の下に着る襦袢ですが,半襦袢と長襦袢がある他,さらにその下に着られる肌襦袢もあります↓

襦袢の種類

長襦袢:着物の袖から見えるものでサイズは振袖より少し小さめ。

半襦袢:小振袖に使用し,裾除けも加えた二部式襦袢もある。

肌襦袢:ドール用のものは色移り防止に使われる。

襦袢は洗濯技術の乏しい時代に,着物を汚さないための配慮でした。

なので,汗をかかないドールには不要と思われるかもしれません。

しかし,着物の下からのぞく半衿(首元に見える白い衿部分で,和服の「衿」は洋服で言うところの「襟」のことで読み方も同じ)や袖から覗く長襦袢がファッション要素とされるため,見た目的に重要です。

このように考えると,着物自体に装飾として縫い付けてしまう行為はドール用着物におけるスタンダードと見なせるかもしれません。

とはいえ,先の帯諸々も含め,縫い付けられたものでは色や素材を変えて楽しむことができませんし,縫い付けられたものをスナップで止めた場合と実際に縛って着付けたものとでは,着付けから得られる学びも減ってしまうというものです。

なお,ここまでに紹介してきたものの素材には,着物を中心に正絹か綿がありますが,襦袢や浴衣や帯まわりの小物に別素材が使われることもあります↓

着物関連の素材

正絹:絹に「正」が加わると「本物」の意味になり,天然の絹糸そのものを指す。

綿:絹よりも安価で扱いやすいが高級感や手触りでは劣る。

その他:ポリエステルや麻,レーヨン(化繊)など。ゴム製のものは扱いやすい。

正絹には生糸と紬糸の違いもありますが,ドール用の着物は人間用の着物をリユースしている場合も多く,元となった着物の情報を載せているお店もあるほどです。

ところで,ドール用の着物は場所をあまり取らないので,人間用の桐ダンスにまとめて保管するか防湿庫に入れてしまうのも一案です。

汚れた時は人間用の衣装用ブラシできれいにしてください↓

それでは以下で,着付けの手順について学びましょう!

 

 

着付けの順番と注意点

ドール用着物と関連アイテム

ドールが対象になっていても,着せ方は人間のものと同じです。

大体は4つの手順を経ることになります↓

  1. 襦袢を着せる
  2. 着物を着せる
  3. 帯を締める
  4. 小物で着飾る

ドールを使って具体的にみていくのは後回しにして,ここでは次章以降で触れない事柄を中心にまとめることにしますが,ドール用ということで外に柄が見えない肌襦袢や下着は省略し,長襦袢から着せることが多いです。

着物の下に位置するもののシルエットには影響してくるため,ここで布や包帯などを使って胴体を太らせる場合があることも覚えておきましょう。

衿の合わせと後衿の抜き方の2つに注意が必要で,特に後者に関しては礼装か普段着か,年齢や体型によって抜き方が変わってくるくらいに奥深いものです。

着丈ですが,上に着る着物がくるぶしくらいの丈になる関係でそれよりも短くなります。

続いて着物を着せますが,人間用のものと異なり,指が何本入るかを基に調節できたり補助となるコーリンベルトがあったりするわけではありません。

なので,ドールの着付けでは以下に気を配れば大丈夫です↓

  • おはしょりがきれいか
  • シワはないか
  • 襦袢の見た目は良いか
  • 衣紋の抜けはあるか
  • 中心線がずれていないか

着付けられたら帯を締めましょう!

ドール用はマジックテープやスナップになっているはずです。

とはいえ,おはしょりや帯揚げ,帯締めの見え方には気を配ることを忘れないでください。

あとは必要に応じて小物で着飾りますが,ドールの和小物!どんな種類がある?ですでにまとめた関係で今回は省略し,先に紹介した4つの手順のうち3つ目までを個別にみていくことにします。

 

 

手順1 ドールに襦袢を着せる方法

一言でいうと,長襦袢を羽織らせて衣紋を抜いたら終わりです。

ところで,和服の衿というのは,洋服の襟と異なりだいぶ位置が下にまで来る点が大きく異なります。

補正が必要だと感じた場合は,長襦袢の下に施しましょう(過去に「着物用補正パッド」などの商品名でボークスが販売していたことがあります)。

「衣紋を抜く」と聞くと難しそうに感じますが,ドールの衿後ろを引っ張って空間を作ればOKです。

この作業については,どこかで知識として仕入れないと決して行わないでしょうから,着付けにこだわったからこその成果と言えます。

女子は向かって右,本人から見て左が上に来るように前を閉じますが,このとき伊達締めまたは腰帯で縛るのが通常です↓

長襦袢を着たドール

この状態で背中や脇をピンとさせますが,抜いた衣紋が引っ込まないようにだけ気を付けましょう。

なお,上の写真の襦袢は正絹ですが,これ1枚だけでも十分絵になります。

その理由は地紋様が入っているところにあり,安っぽい印象にならないためにドール業界でよく採用されている工夫の一つです(ただし,布の値段はぐっと上がります)。

 

 

手順2 ドールに着物を着せる方法

手順2はメインとなる着物の着付けですが,長襦袢の着付けが終了した時点でシルエットがある程度決まってしまっていることを忘れてはいけません。

これはつまり,もしも着物を着たときのシルエットがいまいち気に入らないようなときがあれば,その原因は長襦袢にあるかもしれないという意味です。

裾引きの着物でない限り,ここではおはしょりを作る技術が問われます

裾が足首に来るように,着物を多少上に引っ張り上げた状態で身頃を閉じることになりますが,長襦袢のときと同様,女性は向かって右が上です。

たるんだ状態が作られた状態で,腰紐などを使って縛りましょう。

このとき結び目が前に来ないようにします。

場合によってはしつけ糸でおはしょりが縫われているものもあり,その場合はその糸をあえて切らない方が楽です。

おはしょりを正して背中のしわを脇側に寄せたら,さらに伊達締めや腰紐を使って縛ります↓

おはしょりを後ろからみた図

背中側の縫い目が真ん中に来るようにする他,しわがないようにし,衣紋が抜けていることや裾つぼまりになっていること(これは写真だとイマイチですが)を最後にチェックしたら終了です。

なお,文章による説明だけだとイメージが沸きづらいかと思うので,着物店の解説ページもみてみてください↓

 

 

手順3 ドールに帯を着せる方法

人間用の帯は大きさや形を変えることで二重太鼓のような形にも整えることができますが,ドール用の帯は形が決まっている場合がほとんどです。

例えば,これはだらり帯的な長いタイプの物ですが,帯締めや帯揚げもすでに取り付けられています↓

ドール用の帯で帯揚げや帯締めが一体になったもの

今回は短い帯に分類される文庫タイプのものを着せ付けましたが,こちらもマジックテープで簡単に着せ付けることができました。

ここでもシワができていないかチェックしましょう。

続いて帯揚げを締めますが,結んだ後,結び目部分を帯に入れ込みます↓

帯揚げは帯下に入れる

このとき,胸元のハンカチではないですが,程良く出して見せるようにしましょう。

最後に帯締めを結んだら完成です。

このときの結わき方は独特のものが知られているので,以下の手順で行うようにしてください↓

帯締めの結わき方

結び方一つできれいに結わけることがわかると,きっと感動すると思います。

 

 

着物の色や柄について

着付けを終えたドール

前章までで着物の着付けは終わりとなりましたが,最後に着物の色や柄について少し述べておきましょう。

着物は季節の先取りをするということで,描かれている草花が咲き誇る少し前に着ることがあります。

春に藤,夏に紫陽花,秋の紅葉,冬の椿などが有名です。

その他,桜や菊だったりリアルな描かれ方をしていない草花だったりは年中OKという話もあります。

とはいえ,ドール用の着物は人間用のものと違ってそこまで種類が選べないことが多いです(職人さんの高齢化問題は,ドール界においても深刻な影響を及ぼしているようです)。

それに何より,色や柄にこだわりすぎた結果何も着せられなくなってしまうことは避けたいので,そこまで厳密に考えない方が良いでしょう。

人間の着物に関して,着方をうるさく言われるイメージを持っている方は少なくないように思われます。

ですが,声を大にして言っているのは着物を商売にしている人たちがほとんどで,

それ(手持ちのもの)だとおかしいですよ!

などと客に迫っては自社製品を購入させようとするあたり,オカルト教の信者と変わりありません。

私自身,実は由緒ある呉服屋の子どもとして生まれたのですが,そういったこだわりがうるさく感じられて家を継ぐことを放棄していたりします。

結局のところ,たとえ着物のサイズが大きすぎようが小さすぎようが,オーナーさえ満足できればそれで良いわけです

今回の記事でも着物の着せ方について色々注意点を述べてきましたが,自分が楽しむことを忘れないでください。

 

 

まとめ

着崩した格好のドール

以上,ドール用着物の着付けについてみてきました。

失われつつある着物文化について理解を深めるためにも,ドール用の着物は人間のものにできるだけ近いものを選ぶべきだと思っています。

周りを見渡すと多くのパーツが一体型になった簡易的なものが多く売られていますが,できるだけ別々になっているものを一から着せ付けていくことで学べることは多いです。

衿の処理から始まり,名称や紐の結び方を覚えるのが大変なのは最初だけな上,苦労した分,着物を着せ終えたときの喜びがひとしおだったりします。

ドール用の帯に関しては成型されているものが多いですが,帯締めや帯揚げなどは比較的自由になり,色や素材の違うものを利用することが可能です。

着物そのものの色や柄についても,季節や自分の好みに合わせて大いに楽しんでいきたいものですが,こだわったあまり萎えてしまうようでは大問題であるとも述べました。

そんなときは,

ドールの世界観は人それぞれだから,現代の基準で考えることもない。

などと考え直し,あくまで自分基準で選ぶようにしましょう。

着物を購入できるショップについては1/3ドール関連のネットショップのおすすめを読んでみてください。

最後までお読みいただきありがとうございました。

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