今回はMYOU DOLLの「黒猫Delia」をレビューしていきたいと思います。
リアル系ドールとはこれまで縁がなかった私ですが,今回はDOLKのHPに掲載されていた写真に,ついつい心を射抜かれてしまったわけです。
キャストドールの扱いは初めてで,先ほど商品が到着して本体を箱から取り出す際,馴染んだソフビ製のドールとは勝手が大きく違うことに気付き,こんな自分にちゃんと扱えるのだろうかと早速不安になっています。
とはいえ,今回のドールはDOLKとのコラボレーションということで,日本語で書かれた詳しい取扱説明書が入っていたので一安心です。
本格的に触れる前に,まずはキャストドールの扱いからまとめていきましょう!
キャストドールとは
キャストドールですが,ドールの素材からすでにソフトビニール製のドール(ソフビドール)と異なっています。
主成分である合成樹脂は常温だと液体なので,それに硬化剤を加えて型に流し込んで成型するわけですが,身体全体を1つの型で作ってしまえば,粘土細工のような彫刻めいたものができ上がり,動きを付けることはできません。
なので,実際はいくつかのパーツに分けて作成するわけですが,これはソフビドールでも同じですね。
ただし,キャストドールは質感がよりきめ細やかで,色移りにも強いと言われています。
その反面,キャストドールは紫外線や温度・湿度の影響を受けやすいのも事実です。
これは完全に素材の性質によるものですが,SNSなどを観ていると
普段は暗室に保管しています
とおっしゃるオーナーもいます。
さて,そのような硬いパーツ同士を繋ぐために,キャストドールはゴムを使用しているようです。
ソフビドールがプラスチック製の内部骨格を使っているところと大きく異なります。
ボディの内部を行き渡るゴム紐がまるで骨格や関節のようにパーツ同士を繋ぎ留めている点はキャストドールならではでしょう。
私はカクカク動く先入観を持っていましたが,どうやらこれは正しかったようです。
この他,キャストドールはリアル系の顔をしているものが多く,アイがグラスアイでまつげが取り付けられていたり,唇が厚く艶やかに仕上げられていたりするところも特徴と言えます。
とはいえ,最近はソフビ製ドールとの違いが無くなりつつあるため,基本的な扱いはソフビドールと同じと考え,キャストドールならではの注意点から,手にしたドールに当てはまるものについてのみ個別に理解しておくのが良いでしょう。
キャストドールのみに使われることが多い道具としては
- Sカン引き
- ゴム引き
- 鉗子
- メラミンスポンジ
が例として挙げられますが,確かにどれも普段使わないもので,私は今回用意できていません。
長くキャストドールと付き合っていくのであればちゃんと揃えておくに越したことはないでしょう(ただし,Sカン引きについては簡易的なものが今回のDeliaに付属していました)。
アイやウィッグの装着時の注意点などは後で行っているレビューの中で触れることにして,次章ではセット内容の説明をしたいと思います。
ドールの頭部や手だけの画像などが出てきますので苦手な方はご注意ください。
黒猫Delia ver. Limitedのセット内容と完成まで
黒猫Deliaですが,本体を製造しているMYOU DOLLだけが関わっているわけでなく,DOLKやMELODY.Cとのコラボレーション仕様です。
なので,通常のDeliaの特徴に加え,以下の2つを追加で備えています↓
- メイクはTaira氏がデザインし,DOLK提携アーティストの手によるもの
- ドレスはMELODY.Cが担当
届いた時期は2024年11月ですが,予約したのは1年以上前のことです。
前払い制なので未来に心変わりしてしまっているようだと困りますが,そうならないことを祈って購入しましょう。
当時の定価は79900円で,セット内容は以下の通りです↓
- ヘッド+ボディ
- ウィッグ
- アイ(おまけのグラスアイも含む)
- ドレス
- シューズ(ランダム)
- オーナーカードや取説など
ちなみに,同タイミングで白猫Zuzanaも登場していましたが,ちょうど対になるデザインでした。
また,黒猫Deliaは今作が発表される前にやや異なるバージョンのものがすでに発売になっていました。
黒猫Deliaのアイのレビュー
それではここから実際のレビューに移っていきますが,まず最初にアイを取り付けるので,ヘッドを外す必要があります。
磁石で蓋が固定されていたのを初めて目にしたので新鮮な感覚ですが,力を必要とせず簡単に取り外すことが可能です。
冒頭で述べたように,キャストドールの扱いは初めての私ですが,前回TinyfoxをレビューしたときにSカンの扱いについてはすでに経験済みだったので,金具を引っ張り上げて90度回転させるだけで難なくヘッドをボディから外すことができました↓
とはいえ,結構な力を入れてSカンを引っ張ることになりましたし,勢い余ってヘッドが破損しないようにかなり気を遣ったことは確かです。
アイは付属のパテを使って取り付けますが,白目部分にアイと同じくらいの量(大体小分けされたブロック1個分)をぐるっと巻いた状態にして周囲に取り付け,仮固定とします。
このとき,アイをできるだけ密着させてアイホールとのすき間を無くしておくことがポイントです。
最後にアイの倍くらいの量のパテを使って固定します。
目玉が変な方向を向いた途端に恐怖映像になるのも新しい経験でした。
ちなみにサイズは14mmで,今回のものはSwan doll製のものです↓
青色のレジンアイで光を当てると様々な色で光ります。
大変きれいなアイで,想像通りの出来栄えでした。
よく見ると下半分が青く,上半分が透き通っており,どちらが上に来るのかわかりませんが,見本では青い部分が結構な領域を占めていたので,このように判断しました。
この眼にやられて購入を決意した記憶があります。
ちなみに,以下に参考として示すのがおまけのグラスアイを装着した状態で,レジンアイとの違いがはっきりとわかるでしょう↓
右上部分の光はすべて部屋の照明ですので,まさにキャストドールらしいデッドなグラスアイでした。
無事につけ終わったと思ってからよく確認してみると,目とアイの間にすき間が見えてしまいやり直す羽目になったのですが,このときふと,ヤフオクでカスタムフェイスを購入した際には,ちゃんとヘラを使ってパテのすき間が埋められていたことを思い出しました。
ヘッドをボディに付けた途端,Deliaの美しさをより一層実感できるようになりましたが,後で全体像を示すので今は止めておきましょう。
メイクについても触れておくと,表面はラメがキラキラしていますし,リップやチーク,そして眉は平行になっていて,これらがすべて黒猫Deliaのミステリアスな魅力に繋がっています。
アニメ系のものと異なり,全体的にぼかした感じになっている点が妙にリアルです。
もちろん,書くべき線は繊細かつはっきりと描かれています。
下まつげが長いのは美しさの証明だそうですが,確かに納得できました。
一方の上まつげはすでに取り付けられた状態でしたが,本来,装着する際には木工用ボンドを使うのですね,勉強になります。
うっかり触って外れてしまわないかと,終始ビクつきながらアイを取り付けました。
黒猫Deliaのウィッグのレビュー
こちらは通常の耐熱ウィッグになっており,全体的に黒ではなくグレー調で,販促写真から受けた印象とやや異なっていましたが,光の加減で別の見え方もするので,ポテンシャルを感じるものとだけ言っておきます。
ウィッグキャップはベージュ色で,真っ黒なものよりも色移りの心配をせずに済みそうでした。
ボリューム感のあるゆるやかなウェーブが大変良きですが,これは熱でパーマ処理をしているため,櫛で梳かした程度で癖が取れてしまうことはありません。
ウィッグはヘッドをボディに固定した状態で装着しますが,その瞬間,私は悟りました。
みんなこの瞬間に,買って良かったことを実感するんだな
と。
そう思うくらい,黒猫Deliaは美しいドールでした。
確かに,前髪に癖が付けられていない関係で,後でミストや何やらでヘアセットをしなければなりませんが,何もしない状態でも十分な美貌を備えています(今回用いている写真はただ櫛で整えただけです)。
ちなみに,Deliaのウィッグサイズは7~8インチでした。
一般的に4分の1サイズのドールはこのサイズであることが多いですね。
これより大きい3分の1サイズとなると9~10インチが多く,6分の1サイズで大きめのヘッドのもの(海外製のドールに多い)は6~7インチになります。
黒猫Deliaの衣装のレビュー
続いて衣装を着せていきましょう!
MELODY.Cの衣装は個別に販売されているものを何度か見たことがありますが,レースの装飾がとかく印象的です。
メーカー名はA Melody about Cute and Coolを表しますが,日本ではあまり見かけないデザインで,ヘッドドレスは結構な大きさがあるように見えます。
白部分は黄みがかかった生成色で,クラシカルな雰囲気が強調されているように感じました。
黒猫Deliaはヘッドドレスやチョーカーを中心にキラキラ光るパーツが使われているので,シンプルさの中に豪華さが垣間見えます↓
しかし,こうした魅力的な衣装が先ほどの本体に加わるわけですから,完成したDeliaはどれほどの破壊力を誇ることになるのでしょう。
実に楽しみな気持ちのまま,服を着せていきます。
特にきついなどはなく,靴下も引っ掛かりなくスッと履かせられてキャストドールらしさを感じることができました。
ちなみにシューズですが,MELODY.Cのものではないストラップシューズがランダムで入っています。
黒猫Deliaを手にしてみての総評
それでは全体を見ながら,完全体になった黒猫Deliaをみていきましょう!
一番良かったところは「顔」で間違いありません↓
人形は顔が命ですので,これに勝る評価はなく,アイもメイクも丁寧な作りで美しいです。
正直,蓋の部分やボディにはテカリが多少見られたのでちょっと雑だなと思ったのですが,目につく部分はまったくもって抜かりありませんでした。
作業中,間接がパキパキ鳴って驚きましたが,これがキャストドールなのでしょう。
ボディを触ってみた感じ,ソフビドールのようなざらざら感はなく,陶器のようにつるっとしています。
動作についてですが,カクカクはするものの動かしながら遊ぶわけではないですし,関節部分はむしろ自由に回転できて向きを決めやすかったです↓
もっとも,パチッとそれなりの勢いをもって正位置に戻ろうとするので,関節部分にウィッグや自分の指が挟まれることが何度かあった他,微調整が効きづらく,最初のうちはスタンドを使ってしっかり立たせることすら困難でした。
ポーズ決めも,頭や腕の角度が狙った位置で止まってくれないので,慣れるまでに結構な時間がかかりそうです。
なお,今回のセットとは別に,全関節が自由に動くハンドパーツも同時購入していてさらに色々な表現を可能にしてくれています。
しかし,手の取り付けには少々難儀し,鉗子がなかったのでどうしたものかと悩んだ結果,竹串を使うことで解決しました(両手以外に口も使って三刀流で作業しています)↓
ハンドペイントの追加サービスは利用していませんが,それでも値段は当時の価格で13500円したので,オプション品に払うものとしては高いかなとも思ったのですが,1本1本にゴム紐が組み込まれているのを見て,そのくらいするのも当然かと思い直した私です。
なお,このハンドパーツはMYOU DOLLのものではなくDIKADOLL製でしたが,DOLKの販売ページから紹介されていた物であって,色や質感に違和感はありません。
ひじ関節くらいには間接のスキマが生じますが,そこはハンドドレスがカバーしてくれます。
またしても,目に触れない部分はこうして上手く隠されるのでした。
まとめ
以上,DOLK×MYOU DOLL×MELODY.C黒猫Deliaのレビューでした。
私にとっては初めてのキャストドールになりましたが,重量はソフビドールより多少増したものの重いとまでは思いませんでしたし,汚れや破損に気をつけるのはどんなドールでも同じことなので,特に問題なく導入することができたように思います。
これまで長くアニメ系ドールばかりを購入してきた私ですが,リアル系ドールには独特の魅力があり,むしろ今回のDeliaを眺めすぎた関係で,直後にアニメ系ドールを見たときは,やたらもっさりしているように感じたといいますか,違いの部分が強調されてしまい戸惑いを隠せませんでした。
隣に並べてしまうのは,自然と比較してしまってよくありません。
私が今後どうなるかはわかりませんが,こうやって別路線に足を踏み出す方も少なくないのかもしれません。
一つ確かに言えることは,リアル系ドールも良いぞということです。
これからもDeliaのバージョン違いは発売され続けるでしょうから,見た目が気に入ったものがあれば,みなさんも是非購入してみてください!
最後までお読みいただきありがとうございました。